Vol.47「自動計測システムに以上あり?」
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27 AM13:50 Reported By 宮嶋泰子
総括記者会見
 

世界水泳も明日で終わり。
なんと福岡の日々が早かったことか。
今日、12時から一足速く、FINA国際水泳連盟の記者会見が行われ、世界水泳福岡2001の総括がおこなわれました。

前半は大会の総括でしたが、後半から各国コーチ選手たちが一番注目している、自動計測システムに対する不信感に対する質疑応答となりました。
それでは記者会見の模様をじっくりご覧ください。

出席者
@DR.JulioMaglione
ASamRamsamy FINAスポークスマン 
BBartoloConsolFINA専務理事
CCornelMarculescu FINA事務局長
DSuehiroAkito セイコーの技術担当代表として

--SamRamsamyFINAスポークスマン:
FINAとしては自動計測に関しては昨日直接発表をしたので、計測に関してはセイコーにお願いします。
我々はこの件に関してはもう発表しません。
世界選手権としては組織的には大変成功したと思う。組織委員会に対しては感謝する。組織委員会だけでなくボランティアの方々にも感謝する。
後ほど数字を発表する。

参加者の数:
○選手1498
○役員952
○参加国134

他のスポーツに比べってサブ競技をたくさん水泳は持っている。競技会場も分散しているが、リザルトも円滑作業ができた。
昨日までの段階で、7つの世界新記録がでて、39の大会記録が出た。
大陸、国別の新記録がたくさん出ている。
ダイビングでは今回非常に人気を集めたのがシンクロダイビン。
水球では男女それぞれのトーナメントを確立できた。
シンクロナイズドスイミングでは日本では更に関心が高まった大会。それは日本が初金メダルと取ったことにもよるでしょう。
オープンウオーターではロシアとイタリアが強さをアピールした。

今日の時点で12万人が足を運んだ。これは世界選手権史上始まって以来の数字。
過去最高のローマの10万人を2万以上凌駕している。
メディアの方々の参加も、活字600人以上が37カ国からやってきた。
翌年2002年にはモスクワで短水路の世界選手権、2003年にはバルセロナで世界選手権を行う。
2004年にはオリンピックがあって、その年に米国で短水路の世界選手権、
2005年モントリオールで世界選手権を開く予定になっている。

--CornelMarculescu FINA事務局長:
国際映像では主放送局のテレビ朝日のおかげで大変素晴らしい質の映像を送ることができた。
400人のスタッフが投入され77台のカメラが動いた。
国際映像はトータル204時間の放送時間、105の国と地域、
日本国内では128時間 衛星140時間の放送、
地上波ではプライムタイムに80時間放送 視聴率は9から16.4%、
4000万人が視聴 (民間マーケティング会社の調査)。
これらは水泳史上なかった値。
水泳が人気のある豪州の視聴者数1600万人から2200万人、
ヨーロッパでは今回のように水泳の世界選手権が大々的に放送されることは初めてのことだ。
25カ国で生放送で毎日。ユーロスポーツ53の地域に放送。
cctv中国も競泳飛び込みシンクロを放送、
トータル36の放送局が世界選手権をカバー。
これは12カ国、パースの世界選手権のときより増えている。
105の地域をカバー6億人が見たことになる。
前回に比べて30%アップ。

福岡や日本水泳連盟の人々の協力を得ることができた。
FINAの事務局を代表して感謝したい。

--SamRamsamy FINAスポークスマン:
昨日の会見で出たような問題はありますが、本当に素晴らしい結果を得ることができました。
(今大会の総括がFINAから出された後、計測システムについての説明と質問がおこなわれた。)

世界中のメディアが注目する
自動計測システム問題
 

 
--計測システムに関する説明:
--スポーツタイミングのジェネラルマネージャー末広氏:
「セイコーでは数々の国際大会で公式掲示の担当をしてきた。最近では5月に大阪で東アジア大会で、今大会と同様の計時システムを使って問題なく終了しています。
今大会においても同じように競技運営のスムースなお手伝いができると信じていたが、それができず大会のスムースな進行を進めるのを妨げたことが残念です。」

タッチ板は選手の圧力に感知して計測するシステム。100%セイコーに責任があるとは思っていない。FINAのルールにより、選手のタッチに反応をしても波には反応しないために1.5キロがセンサーのところにタッチするのを感知するのが一番良いと過去の経験から得ている。
ただし、センサーの間は若干重くなっている。波の影響を受けやすい水面は重めに設定しており、水中深くは軽めにしてある。

今大会において、タイムを修正する際にバックアップビデオを見ているが、タッチをする際に、すぐひじを曲げてしまったり、手をついてすぐ手を離してしまう場合がある。
そのようなタッチ板へのタイムが伝わりにくいタッチの場合、バックアップシステムで確認することが多い。
圧力の十分でないタッチをした後に、選手の肩や背中がタッチ板にあたることがある。
その場合、手が触れたと映像で判断できる時間から背中または肩がタッチする時間までは約1秒近くです。

今回のタイム修正の半分はそのような修正であったと思います。
私どもとしては最初に行われた機器が反応しなかった手先によるタッチが十分であったかどうかは映像を見てもわかりません。
その後の肩や背中がタッチしたことで反応しているということは我々が設定した1.5キロに問題があったと思われる。

時間が限られているので、限界はありますが、運営側、またはFINAが承認してくれるのであれば、我々はバックアップの画像を見て、ご理解いただいたほうがいいのではと思っている。
説明に不足があって理解していただけない部分があるかもしれないが、我々としては最初の説明として以上です。

(これより質疑応答)

Q--男子100Mの決勝でアーヴィン選手の記録が出るのに時間がかかりました。
泳ぐほうがこの計測システムにあわせなければいけないような回答がFINAから昨日行われたが、それについて二つ質問します。
@セイコーに質問:過去の大会オメガやスイスタイミングではこのような問題はおこらなかった。
どうしたのか。
Aセイコーを選んだことはわるい選択だったか?

--SuehiroAkito セイコーの技術担当代表として:
セイコーは過去に数々の国際経験をしてきた。過去のオリンピック、パンパシフィックなどの実績を積んできた。これまで問題は起こっていない。
我々は世界選手権にそぐわない機器を持ち込んだとは思っていない。主役は選手です。残念なことに何度か感知しないことはありました。バックアップを利用し正確なタイムで対応するよう努めている。

--SamRamsamy FINAスポークスマン:
--FINA側:
今回の計時のオフィシャルサプライヤーの選択についてはこれまでの東アジア大会、五輪やパンパシフィックなどの大会の資料に基づいて選択しました。

Q--マルクレスク事務局長にお伺いします。12の国のヘッドコーチから要請書が出されているということですが、その内容は今回の計測システムに対する信頼性に懸念を持っている、ということと、問題が起こったときにその処理のプロセスについて疑問についてです。更にはFINAの裁定委員会でバックアップビデオを見るべきではないかという問題についてお答えください。

--マルクレスクFINA事務局長:
書面は見ていますが、検討はまだじっくりしていません。ビデオを見たいという要請があれば、見るというのが、私たちの態度です。
ただ、プールデッキのオフィシャルの席にみんなが押し寄せて混乱を引き起こすということは避けたいことです。バックアップシステムを見たいという場合は、申請書を出してFINAのTSCキャロルザレスキーに提出してみていただくことになりました。実際にオランダが昨日そのような手順を取ってビデオを見ました。きちんと申し出をしていただければ我々は透明性を守っています。昨日男子100M自由形の2レーンのタイムが計時されず、直ちにレフェリーがバックアップシステムを見て、決断を下した。このような守備を整えて対策をとっています。

Q--計時計測システムについて、2つの質問です。
1今回のこのっプールと機器について、どこが問題なんでしょうか。
2リザルトについて問題があるという疑問がコーチから出ていますが、どう思いますか。

--マルクレスクFINA事務局長:
機器については私はわからないのでセイコーの専門家の意見を聞いてください。
リザルトについては機能もラムサミーから出たように今回皆さんのお手元にあるリザルトが正規のものです。

--ラムサミーFINAスポークスマン:
昨日の記者会見でも言いましたが、疑問があればアピール、プロテストという手段をとってFINAに提出してもらえればいいものです。

Q--今回各国のヘッドコーチからの手紙が提出しているようですがFINAとしてはきちんと回答をするつもりですか?

--ラムサミーFINAスポークスマン:
各コーチからの手紙という形としてしか理解していません。所定の手順をとっていただければFINAとして対応するつもりです。

Q--今手元に配られた書類の中には成功の数字しか並んで折らず、皆さんも成功したと言っていますが、昨日おとといと計時に対する問題が出てきており、大きな疑問が投げかけれているこの大会、何を基準に成功といっているのでしょうか。敗者が不平を述べると昨日の記者会見でおっしゃいましたが、勝者も不平を述べています。どう思いますか。

--ラムサミーFINAスポークスマン:
質問は何ですか、あなたのご意見ではなく、質問は?

Q--これは質問です。

--ラムサミーFINAスポークスマン:
私どもが全体的な評価としての評価をまず述べたわけです。個々には問題もあったでしょうが、それはあくまでも全体的な評価です。
なお、昨晩申し上げた敗者というのは一般的な敗者です。

Q--タッチ板が反応する時間というのはFINAのルールに明記してあるのでしょうか。
バックアップシステムで修正されたものというのは何件あるのでしょうか。

--ラムサミーFINAスポークスマン:
圧力に関してはオメガやスイスタイムも同様ですが、1.5キロという数字はルールの中には明記されていません。
計測機器についてタッチパッドという部分がありますが、「波によって作動してはいけない」という表現でルールの中に述べられています。
将来、圧力の数字に関して明記される可能性はある。

--セイコー:
今までにタイムコレクションをした数は、今日の午前中までに16を直している。
その中の6つは最初からタイムが表示されていなかったものです。その他の10は体のどこかで触れて、修正したものです。

Q--その中に世界新や国内新記録などがありますか?

--セイコー:
資料を持っていません。

Q--今回計時のことで問題があがっていますが、これはチームからの抗議によって問題が表面化しているのか、それとも計時が表示されなかったことによるものでしょうか、その他、体の一部が触れてそれからレジスターしたということが発端なのでしょうか。

--セイコー:
いつまでもタイムが表示されていない場合には、バックアップシステムを見てすぐ対応します。
それ以外のものに関しては一応タイムが止まっているという場合なのですが、われわれやオフィシャルがおかしいというところを自発的にバックアップシステムで見るようにしています。
そしてもうひとつは、チームからのアピールまたはプロテストでバックアップシステムを見るようにしています。

Q--16のタイムコレクション以外で、すべてのレースで他に違ったものはないと言い切れるのか?
ドーピングの血液検査を行わなかったのはなぜか。
また、50mの競技が増えて、スケジュールが過密になったがこれからもこのスケジュールで続けていくのか。

--ラムサミーFINAスポークスマン:
最初の質問に関しては、断言する100%の確立というものがあるのでしょうか。何かあったときにはプールデッキにいる役員たちが対処するという手段を取っています。
第2の質問に対しては、ドーピングの血液検査に関してはFINAのドーピングコントロールりビューボードからFINAの考え方を入手していただけます。
第3の質問、50m導入に関してですが、なるべく多くの選手の要望に答えたいということで、これを実施していきたいと考えています。今回は男子800mも増やしましたが、
これから、プログラムは増加の傾向にあります。これは競泳だけではなく、すべてに当てはまることです。

Q--FINAに聞きます。今回は時計だけではなく、仮設プールに原因があったとは考えられないでしょうか。
50m強化プラスティックの仮設プールで問題はなかったのでしょうか。

--ラムサミーFINAスポークスマン:
これまでも仮設のプールは大会で使用したことがあります。

--セイコー:
現在水に使っているタッチ板ではありませんが、おなじ仕様のタッチ板を市民大会で使用しました。100%そのときには取り上げています。
プラスティック製のプールによる問題かどうかという点に関しては、我々も以前にプラスティック製のプールを使ったことがないので、それに関してはおこたえできません。
コンクリートと違って、若干フィニッシュの壁がフラットではないので、タッチ板が壁から浮いているのでそれが理由の可能性もいちぶあるかもしれませんが、それによって、セイコーが良くてプールが悪いということは考えておりません。

記者会見は終了しましたが、この後も記者と関係者の話は続きます。

(ここからはセイコーの技術者を囲んでの話となる)

日本が3位になった女子800Mリレーのレースについて。
詳細はフレッシュニュースのバックナンバーで、猫の目判定をご覧ください。

Q--バックアップシステムと自動計時システムに0.05も差があるものですか?

いいえ、それは普通では考えられません。

Q--ではどうして、最初の計時では0.06になっていたものが、その後でバックアップシステムで0.01という数字がでてきたのですか?

それは手の先でついた瞬間を取ればそうなります。

Q--ということは後で、映像を見て、その先端が着いた瞬間の数字を「出した」ということですか?

自動測定装置の結果
 

そうです。自動計時システムでは0.06と出ていたにもかかわらずです。
このとき、本来入ってはいけないバックアップシステムのところに、アメリカのコーチが一緒に入ってきて、ビデオを見ながら「この瞬間だろう!」と主張し、その主張がジャッジによって認められ、−0・06が−0.01に訂正されたのです。
皆さんの手元に二枚のリザルトが出ていると思いますが、二枚目のリザルトの−0.01はアメリカのコーチと一緒に出した数字を生かし、FINAがこれで行けといったので、0.01になったのです。その翌日裁定委員会が開かれて、元に戻ってしまったのです。

Q--今回だけソフトタッチが多いということは考えられないんですけれど・・

さまざまな国際大会を経験しているが、こんなことはない。東アジア大会では3つありました。

Q--タッチ板を期間中に変えましたか?

26日の夜に6レーンのタッチ板を変えました。それはあのリレーの後です。9レーンにあったものをもっていきました。
FINAが変えろといったからです。品質的には全くおなじ者です。

Q--パンパシでは圧力はどのくらいですか?

普通はもう少し軽めの1.3キロぐらいです。あんまり軽いと、間の水の幕で反応することもあるので、それは避けたいと、過去よりも少し圧力を上げたんです。
特に水の上を重めにしました。

Q--FINAの説明ではオメガもスイスウオッチも1.5キロですか?

我々はオメガが何キロか知りません。分解しているわけではなく、自分の世界でやっているので、わかりません。
これだけの頻度で起こるのは理解できません。
東アジアは3つ出ましたけれど、16もありませんからね。
特にシンクロがありましたから、競泳が始まる前日にタッチ板をプールに沈めたわけです。

仮設プールの壁は確かに平らではないので、それはマイナスには作用するでしょう。
タッチ板が浮いているというのはそれだけ圧力がかかりにくいということですから。
いくら押してもにげるということですから、でもこれだけおきるのはヤマハさんのせいではないですね。
壁が平らならぴったりつきますけれど、プールがコースロープに引っ張られてタッチ板が浮いているんですね。
上部で3ミリ、5ミリです。水の中では場所によっては1センチぐらい浮いています。
浮いているという事実は最初から認識はしていませんでした。コースロープは強く引っ張られているので・・
タッチ板の大きさは縦1M横2M45、厚さは1センチです。

ソフトタッチは日本人にもひとつ出てしまったのですが、日本水泳連盟は、機械が作動するようなタッチをするようにとお達しを出している。
かえって、コーチからすみませんと誤られてしまったほどです。
あのケースもひじを曲げてしまったので、力が伝わらなかったんだと思います。
映像で見るとね。でも今回のケースはほとんどがタッチをした瞬間に手を引いてしまうケースが多いのが現実です。
押さなくてはスイッチが入らないというのはみんな知っていると思いますよ。
でも今回は知らない国もいるかな?

タッチ板の浮きに気づいたのは昨晩です。
FINAにはコースロープをもう少し緩められないかと提案はしましたけれど、波を消すためにだめだといわれました。

素材はバックがアルミで、フロントが塩ビの対衝撃性のものです。1.5キロで反応しなければならず200キロのターンにも耐えられるように作っている。
この製造は今年の始め。

 

ハイテク国家を誇っている日本だが、思わぬところでトラブルが続き、関係者も頭を抱えているというのが現実のようで。
 

世界水泳の放送スケジュールはこちら
http://www.tv-asahi.co.jp/w-swim/ANB/schedule/schedule_all.html