Vol.10「シンクロ日本チーム2位で予選通過」
7/18 PM20:08 ReportedBy宮嶋泰子

18日の夕方18時から、マリンメッセではシンクロナイズドスイミングのティームフリールーティーン
予選が行われました。

シドニー五輪の覇者ロシアがトップバッターで登場。
テクニカルルーティーンを終了した段階でトップのロシア。

8人全員がシドニーの時とは変わりました。
平均年齢18歳の若いチーム。
6月のヨーロッパ選手権ではリフトを何度も失敗するなど、未熟さを見せていましたが、
さあ、今夜はどうでしょうか。

「禿山の一夜」で、演技構成はシドニー五輪の時と同じ。ただ演じるメンバーが変わりどうなるか、そのあたりが注目されました。
所々で若さが露呈する部分が出てきます。
ただ最初から最後までリズムをしっかり刻みながら、同調させていく構成はロシアならではのものです。

最後のリフトで大きく傾く失敗があり、プールから上がってきた選手で泣いている姿もみられました。

得点は

TM 9.9 9.9 9.9 9.9 9.8
AI 9.9 9.9 9.8 9.9 9.8

実は泣いていたのはエレナ・オブチンコワ選手で演技の最初のパートで強く鼻を打ってしまったのです。
一人走って控え室にもどり、他の選手たちも何が起こったのかわからないまま、暗い表情でインタビューコーナーにやってきました。
テクニカルルーティーンで高得点を挙げて気勢を上げていたときとはうって変わった雰囲気でした。

日本の侍
 

さて、日本は3番目に登場。
こちらも若いチームです。
今日のテーマは「侍」。

じっと見つめる友松コーチ。

戦場に赴く侍たちの様子を吉田兄弟の三味線にのせて軽快なリズムで演じていきます。
リフト、とび技も成功して、ほっ!

選手たちはやりきったと言うすがすがしい表情で水からあがってきました。

得点は・・

日本の美しい隊形変化
 
TM 9.7 9.8 9.8 10 9.6
AI 9.9 10 9.9 10 9.7

技術点ではスイスのジャッジが10をつけ、
芸術点ではエジプトとスペインのジャッジが10を出したのです。

そのスコアーを見た瞬間、友松コーチは手を口にやり、信じられないと言う表情。
選手たちに「本当に体がばらばらになるくらい良くやった。でもこれで終わりじゃない。まだ決勝がある。」と檄を飛ばしていました。

ここで審判構成をご紹介しておきましょう。
TM 1カナダ 2英国 3日本 4スイス 5米国
AI 1メキシコ 2エジプト 3スウェーデン 4スペイン 5イタリア

さあ、ここでおなじみソウル五輪銅メダリストの田中ウルヴェ京さんに登場願いましょう。

「実は今とっても複雑な心境なんです。
日本チームに10点が出たのは本当にうれしいんですけれど、風が吹けば何でも10点になってしまうのはおかしいと思うんですよ。
技術点で10点が出ていましたけれど、日本の選手はもちろん自分たちでわかっていると思いますが、技術的な面ではまだまだ未熟なんですね。
たとえば、5分間の演技の中でダブルスピンを一度しかいれていませんし、それも2回転しかしていないんですね。」

「私たちコーチとして、選手に何のために技術を教えているのかわからなくなります。
これで10点が出てしまっては、シドニー五輪の選手たちの技術になぜ10が出なかったのかということになってしまいますよね。」

独特のリズムの日本
 
ロシアのフリールーティン

田中さんかなりのショックを受けているようで、いつもより口が重いのです。

「日本の選手は本当に良くがんばりました。150%の力を出したと思います。
でも、あんなに簡単に10点が出てしまうことは、
シンクロナイズドスイミングと言う競技を悪くしているようにしか思えません。」

芸術点でも2人のジャッジから10点が出たことはどう評価しているのでしょうか。

「友松さんはとても構成がうまい。
今回で彼女が世界に残れるコーチであることが証明されたと思います。
曲の起承転結、審判の心をつかむ曲の構成が抜群にうまい。
ドラマ性を重視しているのはミュージカルが好きな友松コーチならではだと思います。」

「あと、友松コーチはリズムの取り方がいいですね。これまでのシンクロと違ったリズム。
例えるならば、ピンクレディーがモーニング娘になったような感じですか。斬新です。」

辛口の田中さんは、ロシアに関してはどう見ているのでしょうか。

「そろそろロシアの底がみえはじめているのかもしれませんね。
97年にロシアが世界の頂点に立ってから、ずっと同じ調子です。
たたみかけるリズムと同調性。
チーム演技にしても、デュエット演技にしてもですが、最初から最後までほとんどテンポが変わらないんですよ。
そろそろ見る側も飽きてきているんですね。ジャッジにもこうしたことはばれてきているんじゃないでしょうか。
そして、その分、日本のリズムや構成がとても新鮮にみえたのではないかと思いますよ。」

なるほど・・・・・奥が深い!

でも風が吹けばみんな10と言うのはちょっとさびしいですね。
いつも採点競技を見終わった後、なんだか妙な気分になるのはこうしたことが原因なのかもしれません。

きっと10点を出す基準についてFINA国際水泳連盟でも厳しくルールがつくられるかもしれませんね。

さあ、このフリールーティーンの上位12ヶ国をご紹介しておきましょう。

ロシアのリフト
ロシアの二段リフト
1位 ロシア
2位 日本
3位 カナダ
4位 米国
5位 スペイン
6位 イタリア
7位 中国
8位 フランス
9位 ギリシャ
10位 ウクライナ
11位 ブラジル
12位 スイス

なおこの模様はBS朝日で中継されました。解説は小谷実可子さん、実況は大熊栄司アナウンサー。
チーム決勝は7月21日土曜日に行われます。
 

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