Vol.5「シンクロデュエット金メダルに向け好発進」
7/16 PM21:30 ReportedBy宮嶋泰子

世界水泳初日、夕方からのイベントはシンクロナイズドスイミングのデュエット、テクニカルルーティンが行われました。
一カ国一デュエットで27カ国の選手が出場。日本のシンクロ界初の金メダルを狙う立花武田組は試技順4番で登場。

採点競技では、後で演技を行う選手のほうが、点が出やすいので有利といわれています。その点ではくじ運が良くありませんでした。
しかし、シドニー五輪で銅メダルを獲得しているフランスのデデューのデュエットが試技順1番目で演技をしたことを考えると、そう贅沢も言っていられません。

試合前のアドバイスを受ける立花・武田選手
 

さて、日本のデュエットのテクニカルルーティーンはシドニー五輪のときと同じ「水平線」。曲は同じですが、かなり難度を上げた演技構成になっています。
2分20秒の中でツイストスピンやバレーレッグのコンビネーション、さらには片足を徐々に上げ下げしていく難しいントニーのコンバインドスピンなど決められた要素をいれて演じていかなければなりません。テクニカルルーティーンの得点は全体の最終成績をつけるときの35パーセントの得点を占めるので、大変重要なものです。

ウオームアップのときに「立花さんがソロでがんばったから今度はいよいよ私の番です」とちょっとほほが紅潮した感じで話してくれた武田選手。
はや闘争体制、アドレナリンが出ているなあという感じを抱かせてくれました。

競技が始まり、フランス、ギリシャ、キューバときて、いよいよ日本。

黄色をベースにした水着で登場した二人。貫禄さえ感じさせるゆったりとしたムーブでポーズをとります。

ツイストスピンなど完璧!規定の要素を同調させながら、二人の距離も短く、速いリズムで演技をしていきます。
良い感じです!おっと・・
後半のスラストトワールで一瞬、二人の飛び上がるタイミングがずれた!ちょっと残念。

演技が終了して割れんばかりの拍手。
得点板をじっと見つめる井村コーチ

TM 9.8 9.8 9.8 9.8 9.8
AI 9.8 9.8 9.8 9.7 9.8

「カットされるとしても9.9が欲しかった。」と井村コーチ。
「やはり一箇所同調しきれなかったところがあるので、その点で80点の出来かな」とのことでした。

立花選手は表情を少し硬くして「ちょっと残念」と言いながらも「フリーはまったく感じが違うものなので思い切っていきます」とのこと。
武田選手は「体も良く動いていたので、一ヶ所残念だけれど、私は後はデュエットのフリーだけ。全力投球するのみです。」とコメントしてくれました。
それにしても、二人は山口百恵さんのメイクを担当したアーティストに本番用のメイクを教えていただいたとのことで、近くでインタビューしても
とても素敵なやさしい感じでした。グリーンのマスカラとオレンジの口紅が衣装とマッチしていて魅力的でしたよ。

さて、過去シンクロ界を牛耳ってきた注目のアメリカは全米で3位のデュエットが出場。
なぜかといえば・・・
1位は男性のビルメイとコズロワのデュエットで、これは国際水泳連盟が男性のシンクロを認めていないので、世界水泳には出場できませんでした。
2位のデュエットは最近復活してきた、かつてのシンクロのアメリカの女王、いえ、世界の女王、トレーシー・ロングの組なのですが、まだ復活して1年に満たないということで
これまた世界水泳のルールに合わず、福岡にくることができませんでした。
そして国内3位のデュエット、マーティンとマックフォールは軽快な曲に乗って15番目に演技。
このあたりから得点がぐんとのびてきて・・・

TM 9.6 9.6 9.6 9.6 9.5
AI 9.6 9.5 9.5 9.6 9.7

そして・・20番目にいよいよ二人のアナスタシア、18歳のロシアのエルマコワとダビドワのデュエットが登場します。

試合前の練習をするロシアの18歳コンビ
 

曲はオリジナルのロボット
日本のフリールーティーンの陸上動作そっくりのロボットの動き。

まあよくここまで合わせるという動き。
小刻みにスピーディーに最初から最後までひとつの影のように動く完璧さ。

日本はどうなる???
途中から見ている私もどきどき。これは大変なことになりそうだ、まっずい!!

解説の田中ウルヴェ京さんによれば一つ一つの演技は完璧にあっているものの、とても簡単な技の連続なんだそうですが・・・・
それをも忘れさせるシンクロナイゼーション。同調性の見事さはあっぱれというほかはないでしょう。
2分半の演技を終えると場内からは敵ということも忘れさせたすばらしい演技に対してスタンディングオベイション並みの拍手。
それに対して二人はなんと水の中で観客に向かって手を振っているではないですか。
18歳とは思えない観客を見方につける方法もよく知っているなんて・・・・・・

ううーーん。得点はどうなる!

出た!

TM 9.7 9.8 9.9 9.9 9.7
AI 9.7 9.9 9.7 9.8 9.9

ええっ!9.9が出ているではないですか。
井村コーチが9.9は欲しかったといっていたその得点が、ロシアに出ている。

絶体絶命・・・いや待てよ。
9.7もあるじゃない。
いったいどうなるのこれ。
頭のそろばんがぱちぱち・・・

シンクロの得点では最も高いものと低いものがカットされ、中間の3人の審判の得点が採用されます。
テクニカルルーティーンではテクニックが重視されるので、テクニカルメリットが60パーセント、あーティスティックインプレッションが40パーセントという割合で
計算されます。
さらにその得点の35パーセントが最終順位を決定する得点に影響を及ぼすのです。

ああ!!!電光掲示板に出た数字は34.300。

ええっ?それって・・・嘘でしょう?
日本の得点とまったく同じ。

いやあびっくり、びっくり、こんなことってあるんですか?
最初のテクニカルルーティーンで優勝を狙っている日本とロシアの得点が同点だなんて。

シンクロの歴史に残る激しいバトル。

この結果を知った井村コーチの一言は・・・
「いやあ、思った以上にロシアに点が出たのね。・・・うーん・・・そう簡単に、一筋縄ではいかないということでしょう。」
と冷静に分析をしながらも、ひそかな闘志を燃やしたコメントでした。

さあ、このけつ末はどうなるのか。フリールーティーンの予選と決勝にすべてはかかっているのです。
パントマイムで金メダルをつかめ!立花、武田!世界一の座はすぐそこだ!

そうそう、結果をお伝えするのを忘れておりました。

1位 日本
1位 ロシア
3位 カナダ
4位 アメリカ
5位 フランス
6位 スペイン
7位 イタリア
8位 中国

※ちなみに審判構成は以下のとおりです。
TM 1スペイン 2メキシコ 3エジプト 4チェコ 5オランダ
AI  1ブラジル 2スウェーデン 3英国 4米国 5ロシア

なお、今回も技の名前などよくわからないところはソウル五輪デュエット銅メダリストで、BS朝日で解説をしてくださった田中ウルヴェ京さんに教えていただきました。

世界水泳の放送スケジュールはこちら
http://www.tv-asahi.co.jp/w-swim/ANB/schedule/schedule_all.html