甲子園で取材中のヒヨコから、近況報告が届きました!
今回は、村上祐子から アルプススタンドの印象についてです。
〜「アルプススタンドという場所」
村上祐子〜
甲子園のアルプススタンド。
同じ場所でありながら、出場校のカラー・その土地の文化などによって、毎回違う空気に包まれる不思議な場所です。
その昔、ある漫画家が、応援している白いシャツを着た学生たちの一団を見て、『そのスタンドはまるでアルプスのように、頂上付近に白い雪を蓄えているかのようだった…』と表現したことから、「アルプススタンド」と呼ばれるようになったそうです。
ひょんなことから隣の人と言葉を交わすようになり、メガホンを借りて一緒に応援したり、お弁当を分けて頂いたり。
それは、旅先の出会いに似ています。私はどこにも旅をしていないし、いつも同じ場所に立っているのに、毎日日本のどこかがここにやってくるのです。
一日4試合。試合の後は、勝ち負けという明白な結果だけを残して、アルプススタンドは一瞬で様変わりします。
夕方になると、浜風が吹きます。阪神甲子園球場がある西宮は海の町。古くから栄えた港があり、この辺りにも自然の浜が残っていて、時折潮の香りがやってくるのです。
アルプススタンドの最上段から見渡す風景。普段テレビ画面いっぱいに映るスコアボードも、随分と遠くに見えます。むらさき色の雲と、明るすぎるスタンドの照明。海鳴りのような歓声を夢見ごこちで聞きながら、まるで『天空の城ラピュタ』のような球場全体を、眺めています。
私はそんな場所で、毎日リポートしています。チームを応援する色々な人たちの気持ちを、その土地の風と共に伝えられたらと思っています。
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