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3月4日 『Sweet Rain 死神の精度』を観てきました。


映画「死神の精度」レビュー  
〜死神はあくまでクールに死神〜

メールボックスに届いた試写状。
写っていたのは、黒いタキシードを着た金城武。

「ヤバい、カネシロ!めっちゃカッコ良過ぎぃ〜〜!!」
えへへ、すみません。
久しぶりに心躍りました。

わたしは金城武さんの精悍な声がとても好きなんです。
ハッキリした目鼻立ちのお顔ももちろん好きですけど。
そんでもって、魔女とか悪魔とか死神とか妖精とかが出てくるお話が好きでして…
これは見ないわけにはいかないのです。
死神に会いたくて、会いたくて試写室へ駆け込む矢島をどうか笑わないでおくれやす。

…とはしゃぐわたしをよそに、物語はわたしが予想していたような、
死神と人間の女性のラブストーリーでは無かったのです。
これは新しい死神物語です!
だってもう、拍子抜けするくらい、死神はあくまでクールに死神、なんです。

人生最期の日まであと7日、というときに死神はやってきます。
この世に死神はひとりではありません。
死神という仕事をしている人が何人もいて、こ
の地上に何人も降り立ってきています。
その仕事とは、その人が本当に死ぬべき人間なのかということを見定め、
生死を判定すること。
死神が「実行」と言ったらその人は予定通り7日後に死ぬことになり、
「見送り」と言えば、その人は生き続けるのです。。
まぁ大体のときは、「実行」なんですが。

さっきも話しましたが、死神はとっても冷静に淡々と仕事をこなしています。
どんなに辛い境遇の人と話していても、感情に揺さぶられることがない。
死神の前ではお涙頂戴的なことは通用しません。
あまりに淡々と仕事をこなしているので、
その仕事が「死」を司っているなんて思えない。
死神にとって「死」とはあまりに身近で特別なことではないのです。
なんていうか…他人事なんです。
そして死神は死なない。当たり前なんですけどね。
死なないって、これほどまでに強いことだと思っていませんでした。
だからこんなに冷静で、気高くいられるようです。
死神の中には、人生の最期くらい楽しませてやりたいという思いで、
最期のときを共に過ごす間に恋愛関係になってしまうものもいるのです。

物語の中で、同僚の死神はこう言います。
「このミュージックがいい!と思うのは歌手がうまいからではなく、
プロデューサーがいいからということが多いんだ。
だから、俺ら死神は人生最期のときのプロデューサーというわけなんじゃないか?」

これがまあ、その恋愛関係になってしまったことの弁解なのですが…
カネシロ演じる千葉という名前の死神は、納得しません。
彼は死神業界の中でも際立って淡々と冷静に仕事をしているかのように思えます。

淡々と冷静にというと死神はすごく冷たいような感じもするけれど、
そうでもないんです。
死神は人間同士のあたたかいやり取りをも冷静に見つめています。
愛とか絆とか運命、そういうものも冷静に受け止め、否定しません。

そして音楽をこよなく愛し、
「ミュージックは人間が作ったものの中で最高の発明品」とまで評しています。
音楽は人の感情の起伏そのもの、だと考えるならば、、
死神にも人の感情がけむたいものではないのでしょう。

もうひとつ物語に味をプラスさせているのは雨。
千葉は雨男(雨死神)で、彼が現れるときは必ず雨が続きます。
その雨は死が迫る者に対してどんな効果をもたらすのでしょうか?
これが何故かあたたかいんですから驚きます。
人の業のすべてを優しく洗い流しているのでしょうか?やさしいのです。
千葉に限っては、冷たい哀しい雨を降らせないようです。

あ!そうそう、さっきこれを書きに本社へ戻ってくる途中、
パラパラと雨に降られました。 その雨を乗せてきた風にビックリ、ドッキリ!
それはもう完全に冬の風ではなかったのです。春の空気を含んだ風でした。
生暖かい、心をざわつかせる甘みがある風にホコリが混じっています。
春はもう、すぐそこまでやってきていることを感じました。
そこに照れ笑いをしたような雨粒が…。
こんなに表情のある雨と風、
振り返ったら千葉が立たずんていそうな気がしてちょっとドキっとしました。

さて、この物語は死神はあくまでクールに死神である、ということにあるのです。
死神が人間の感情に翻弄されてしまっては、この物語は完成しません。
決して滲むことのない、真っ黒な黒いインクで書かれたラインのようです。
タイトルの「死神の精度」。
この精度とはなんだろう?ずっとずっと気になっていました。
精度は辞書で引くと、精密さの度合いという意味です。
死神の精密さ?
これが気になって、映画を見た後すぐに原作も読んだのですが…
でもピピッとくる答えが見つかりません。

しかし、思うところはこんなことです。
この物語は全体が死神・千葉の視点から描かれています。
物語の中にも出てくるのですが、死神にはその判定を報告する上司がいます。
映画なら黒い犬。小説なら電話の相手。
その上司がたくさんいる死神たちのことを見ている視点、
すなわち一人の読者の視点が「精度」と言わしめたのではないでしょうか。
これは千葉という一人の死神の成果を書き綴った死神レポートなのではないか、
ということです。
だからこそ、見ているわたしたちも冷静に淡々と物語の展開を追っかけつつ、
冷酷な気持ちではなく、あたたかい気持ちでいられるのではないかと思うのですが…真相はわかりません。

個人的には、死神としての千葉の精度は、とても優れている方だと思います。
ひとつだけ「見送り」を出した人間の運命がどんなたどり方をしたのか?
ここは見所です。

…と難しく書き連ねてしまいましたが、久々に邦画の中でカネシロを観ました。
言葉すくなで、しゃべりだすとちょっとズレてて面白い。
どこか浮き世離れした存在感があって時々にんまり笑う。
金城武さんは本当にこういう役が似合うと思います。
物語はラブストーリーもミステリーもハードボイルドも入り混じったような不思議な感じです。
それらすべてにはまり、かつ死神の淡々とした冷静な距離感を保てるのは金城さんだけではないかしら…
今日は金城武さんをほめちぎって終わりにします。
 
作品データ
「Sweet Rain 死神の精度」
3月22(土)より 丸の内プラゼールほか全国にて公開
配給 / ワーナー・ブラザース映画 2007/日本
「Sweet Rain 死神の精度」公式ページ
http://www.shinigaminoseido.jp/

・・・やじまるの近況・・・

ちい散歩の収録時はいつもメイクルームで次の収録を待ちます。
ひとりで控え室にいても寂しいので、なんやかんやおしゃべりをしています。
スタイリストさん、メイクさん、出演者さんもみんなジョシ!
それはまさに女子高のような雰囲気。
最近メイクさんがいつも実家から届くハッサクを持ってきてくれます。
メイクルームはさわやかなハッサクの香りでいっぱい♪
気分がリフレッシュ出来ます。
その時々で変わるのですが、最近まではパワーストーンが大流行していて、
みんなで自分の願い事を叶えてくれる石を探したりしていました。
あるときは相性占いも流行りました。
そして今大流行なのが編み物!
みんなで編み編み編み編み…
小物やケープなどをひたすら編みながらおしゃべり。楽しすぎます!
そして、わたしもみんなにつられて久しぶりの編み編み…
何度も何度もやり直しながら、ようやくルームシューズを編みました。
わかりづらい写真ですが、桜色のルームシューズです。
ちょっと不恰好だけど自分で作るとなんだかとっても良い履物のように思えてきます。
このジョシの園、次は何がブームになるんでしょうか?楽しみです。

 
 
 
    
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