2015/3/30 揺れる、節目の季節

揺れる、節目の季節

先日、渋谷駅の目の前にある「東急プラザ渋谷」が
49年の歴史に幕をおろすというニュースの取材に行きました。

この東急プラザは、よそから来た人たちが集うというよりは
どちらかというとご近所さんが集う、
普段着のような渋谷の象徴でした。

最後の4日間は毎日通いました！

わたしも、祖母や母たちと何度も立ち寄って育ち、
大人になってからも何度も通っている思い入れのある場所です。

そんな東急プラザで、
街頭インタビューをずっとしていたら
大勢の人の思い出話を聞かせてもらうことが出来ました。

娘を抱っこをして来たオープンのころから、49年。
最終日は、その娘に手を引かれてきていたおばあちゃん。
初めてレコードを買ったと、当時のことをワクワクしながら話す男性。
大好きだった人とお別れの話をせざるを得なかった女性。
大切な人に渡す花束を買ったという人も…。

皆さん、さまざまなノスタルジーを抱えて
最後の来店を果たしていました。

中でも、開店当初からあるロシア料理のロゴスキーは根強いファンが多く、
最後の夜も2時間以上並んで食べにくる人がいるほど大盛況でした。

ロゴスキーの王道セレクト★

ロゴスキーのボルシチやピロシキなどは
わたしも、年に数回は食べに行きたくなる味です。
ロゴスキーは、移転地がまだ決まっておらず、
「いつか必ず再開したい」とスタッフの方が話していらっしゃいました。
わたしもファンの一人として
その日が来ることを本当に心待ちにしています。

わたしは、散歩番組を担当していたこともありますが
昔から、街や建物の歴史に関する話題がとても好きです。
前にも書きましたが、駅も好きですし、電車も好き。

東横線の線路は今も一部残っています。

それは、誰かと誰かの人生が交差していく場所が
とても興味深いなぁと思うからなんです。

誰かにとっては
大きな節目となるような日だったり、場所だったりする。
でもその横では
何でもない一日を過ごしている人もいる。
この差が非常に興味深いのです。

わたしたちアナウンサーは
誰かにとっての節目と呼べるような日や
その瞬間に立ち合うことが多い職業です。

一生忘れられないだろうという言葉をもらえたり、
一緒に涙してしまったり、
感動や悲しみも、この腕では収まりきらないほど
もらって帰ってくることも多いです。

節目に向き合うとき、人のこころは揺れ動きます。
揺れるこころは、とても魅力的。
この仕事の魅力はまさにそこなのかもしれないと思います。

毛利庭園のしだれ桜です。

3月は、一年のうちでも
特に多くの節目に出会う季節です。

富川さんに撮ってもらった桜写真。

さよならも、はじめましても
はたまた、何でもない一日も
同じ場所で同時多発的に起きているんだと思うと
不思議な気持ちになります。

節目、節目に立ち合える瞬間を大切に。
出会い、話を聞かせてくれた皆さんのまなざしを
きちんと伝えられるように。
わたしもアナウンサー生活11年目を始めたいです。

（auヘッドラインコラム「徒然やじこ」加筆・転載）

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