「クルテク」が映画に!!
アニメから生まれたチェコの国民的キャラクター、クルテク(チェコ語で「もぐらくん」の意)。日本でいう「ドラえもん」、もしくはそれを上回る存在として愛されているようだ。
ちなみに、1957生まれだからドラえもんよりも年上である。
黒い体に無理にくっつけた様な、人間みたいな肌色の短い手足。どんぐり目に、さくらんぼみたいな赤い鼻。頭のてっぺんに毛が3本。…文字で描写してみたら妖怪っぽくなってしまったではないか。でも本当は、ほんとうに、かわいいのである。加えて無邪気でいたずら好きで、しかもいいヤツ。愛くるしさパーフェクトなモグラだ。
日本でも「もぐらとずぼん」というタイトルで絵本が出版されているが、私はこの絵本を読まずして大人になってしまった。無念の極み!
…映画を見て思った。この心温まる物語、未来の我が子には必ず読ませよう!と。
森の中で一人暮らしをするクルテク。
近所のウサギくん、カエルくん、ハリネズミくん、
小鳥トリオとは大の仲良し。そんな森のみんなが毎日素敵なものがたりを生み出す。
ある冬の日にクルテクが作った雪だるまとの間に友情が芽生えたり、自分の巣の土の中で見つけた宝石を、空から降ってきた星だと思い込み、なんとか空に帰そうと皆で奮闘したり…。
なんとロマンチックな発想だろう。「空から星が降ってきた」なんて!
なんと愛に溢れてやさしいんだろう。
「ゆきだるまさんが死んじゃうから、溶けないところへ連れて行ってあげなきゃ!」なんて!
思わず、満ち足りた、やすらかな気持ちになる。
こんなところにあった、心の根っこからポカポカ暖まるような「幸せ」…!
大人になると、頭の中に「実際にはありえないモノ(即ち不要)」というカテゴリが作られ、子供のころに思い描いた、純粋な空想の世界はそこに閉ざされる。
空想は現実を知ると共に色褪せ、その現実に振り回されるようになると、「幸せ」の基準が麻痺してくる。
一瞬の損得に一喜一憂し、「幸せ」はもっともっと高いところにあると勘違いして、気づいたら、足元を見失って必死で手足をバタバタさせてもがく自分。
酸素不足に陥った金魚みたいだ。
「ありえないモノ」カテゴリの中は、大人になっても絶対に忘れちゃいけない大事な気持ちが、まだしっかりと保存されている。ときどき、開けて確認しなくては。
その鍵は、クルテクが持っているハズ。
「シアワセハ、ホントウハ、スグココニアリマスヨ」(←クルテク心の声!)
■作品データ/『クルテク〜もぐらくんと森の仲間たち〜』
監督・原作・美術・脚本:ズデネック・ミレル
配給:SME・ビジュアルワークス/チェコ/80分
※12月21日(土)より、ユーロスペースにてロードショー!
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