voice4まであと2週間を切り、慌しさも熱気も増してきているアナウンス部です。
今回は、芝居部分もあるのですが、普段運動を全くしていない私にとって、特に「アナレンジャー」のポーズでは、足の筋肉がぴきぴきするほどです。。。
当日までには、ばしっと?決めますよー
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立ち稽古中。さやかさんは、ちょんまげ! |
さて、今回の映画は「アメリカン・スプレンダー」です。
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「視点を変えれば、そこが始点」
という名コピーがその昔ありました。
ものごとって、見方を変えれば全然違う風景が見えたりする。
今回は、そんなお話です。
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ハービー・ピーカーは、オハイオ州クリーブランドの病院事務員として、書類の整理に明け暮れ、おまけにコンプレックスたっぷりの風貌と心配性ということもあり、だめな毎日を過ごしている。
そんな現状をなんとかしようとハービーが思いついたのは、自分を取り巻く日常をコミックにすること。絵は描けないので友人に作画をしてもらい、創刊したコミック「アメリカン・スプレンダー」はたちまち大評判に。そして、コミックの熱烈な読者ジョイスとの結婚などささやかな幸せや、次々に起こるトラブル。
この話は、実話なのです。
ハービーは映画の中でこんな風に言っています。
「フツーの毎日こそ面白い」と。
レジに並ぶときのイライラも、同僚のオタク君も、モテナイサエナイ自分さえも。
決して、幸せ!なんていえない毎日だけれど、ハービーの目を通すと、平凡な出来事が輝き(スプレンダー)始める。
「客観的」に「面白がる」ことが、どうやらポイントらしい。
でもねぇ。
辛いときに面白がる、というのはなんと高度な技なのでしょう。
落ち込んだときに、壁とお友達になっている女子アナウンサーは面白いわぁ、なんて客観的に思える心の余裕は、私には、ないなぁ。
今日ご一緒したディレクターさんの話。
彼は去年末に脳溢血で倒れたのですが、彼の場合、身体的な障害ではなく、脳の「言葉を司る部分」にちょっと障害が出たのです。
文字を読むのに時間がかかってしまったり、知っているはずの言葉が出てこなかったり。そんな中受けたリハビリの一つに、絵の書いてあるカードを見てそれが何であるかを言うというものがありました。
犬とか、王様とか、いろいろ、なんでもです。
毎日20ほどのカードを見るのですが、その中にひとつ二つは分からないものがある。
ディレクターとして、映像や言葉に携わってきた人間として、もんんのすごく、ショックなわけです。もう、死にたいと。
ところが彼は、発想の転換をしたんですね。名づけて、「今日のバカ」
分かって当たり前の言葉が、自分でもびっくりするくらい出てこない。あはは、オレはなんておバカなんだ!と自分で自分を笑ってしまおう、ということらしいのです。
「タケノコ」の分からないオレ。
「注連縄(しめなわ)」も出てこないのか、ふむふむ。
といった具合に。
そうすると、一見不幸な話がそこはかとなく可笑しい。
辛い現実も、平凡な毎日も、見方次第で、「きらきら」したものになる。
もしかしたら、私たちの周りも「きらきら」だらけなのかもしれない。
ただ、気づいていないだけで。
さて。
ハービー・ピーカー(本物)は最近のインタビューでこんなことを言っているらしい。
最大の関心事は?という質問に対して、
「妻と娘を養っていくこと」
素晴らしき哉、平凡さ。 |