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Vol.55  「年の瀬」  (2003/12/15)

私の手帳に異変が起きている。
空いているはずの週末が、忘年会の3文字で賑わっているのだ。
一次会の帰り際に舞い込んだ一言。
「これから年賀状の準備を…」
酔いが醒めたのは、夜風のせいだけではあるまい。

何かと忙しない師走。
今年を振り返る機会も多くなる。
先日は、世相を反映した「創作四字熟語」が新聞に載っていた。

年金の世代間格差の解消に資金捻出を訴えた「後世捻金(厚生年金)」。
頻発した米の盗難事件を表した「愛米何処(曖昧模糊)」。

私もしばし考えて、「創作四字熟語」を作ってみた。

紙面の見出しには「消費税率上げ検討」の文字。
税率引き上げはないとされていたが、年金の財源確保として避けられない判断だという。

「言行何方(げんこうどっち)」

くるくると変わっていく世の中。
そんな中、言行一致で守り続けたいものは何だろう。

外に出ると、街の至る所でイルミネーションが輝いている。
クリスマスはもうすぐだ。

「電子爛漫(でんしらんまん)」

大きなクリスマスツリーにはしゃぐ、天真爛漫な子どもたち。
それなのに、なぜか言い様のない憂いが込み上げる。
増え続ける電飾。
来年は、輝いているだろうか。

夜も更けた二次会の帰り道。
イルミネーションの電源も、この頃には落とされていた。
光のない街。
やはり闇は、確実に存在する。

電気コードを纏った木肌に、思わず自分のマフラーを巻き付けたくなった。
目には光、肌にはぬくもり。
首筋を包むような、ほんの少しのやさしさを。

今年も、あとわずか。
   
 
 
    
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