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Vol.50  「雨の中の音」  (2003/11/04)

半年ぶりにライブに出かけた。
今回は野外ではなく、老舗のロック喫茶。
この日は朝から雨が降っていた。

秋微雨(あきこさめ)、秋入梅(あきついり)。
秋時雨(あきしぐれ)、秋驟雨(あきしゅうう)。

それにしても、秋の雨はなぜか物憂い。

ネオンが溢れる歓楽街。
傘に落ちる雨音も喧騒に掻き消される。

入り口の傘立てには小さな水溜り。
古い階段をぎうぎうと鳴らしながら、地下のステージへ。

雨のせいか、音も歌声もしっとりと響く。

店から出ると雨足は弱まっていた。
それなのに、さっきよりも雨音が耳に残る。

ぱらぱら。
しとしと。
さやさや。
ぽつりぽつり。

この雨音をどう聴こう。
言葉ではなく、音符を乗せると?
表す手立ては、言葉でもいいし、音楽でもいい。
帰り道、鼻歌を歌いながら、傘をくるくる回して歩く。

秋の雨、洗い流すは憂いごと。
   
 
 
    
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