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Vol.43  「季節外れ」  (2003/08/04)

急に、季節が変わったと思う。
蝉の声が、きちんと似合う空。

ここ数ヶ月。
少しだけ、季節外れだった。
気温も雨も上がらず、不思議な日々。

眠りと目覚めの間の、あの、ゆらゆらした感じに似ている。
夢か、現実か。
夜中に突然目覚めてしまった時の、肌寒さ。
それと、軽い失望感。

だから、今から夏だと言われても。
身体がまだ、そうではない。

それを受け入れるまでの、ほんのわずかな時間が欲しい。
だんだん変わっていく、優しさが欲しい。
夕闇がいつの間にか訪れるように。

ベランダに結びっ放しのおもちゃの鯉のぼりが、
雨ざらしですっかり黒ずんでいた。
これからは、強い日差しに色褪せていくのだろう。
だんだんと。

さ、今日から夏だ。
   
 
 
    
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