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「おひとりさま」 (2011/07/04)
ひとりで喫茶店に入る?
ひとりで映画館に行く?
ひとりで旅に出る?
おひとりさま。
社会学者・上野千鶴子さんの著書がベストセラーになったり、
同タイトルのテレビドラマが放送されたり、今やすっかり定着した言葉だ。
総務省の調査によれば、日本国内の一人暮らし世帯(31.2%)は全体の3割を超え、
夫婦と子どもからなる世帯(28.7%)を初めて上回ったという。
7月3日の「サンデー・フロントライン」では、このニュースを特集した。
「孤独死」や「少子化」等の社会問題に広がる話題ではあるが、
番組では「個の確立」に焦点を絞った。
取材したのは、新宿の飲食店。一人用のしゃぶしゃぶセットが人気だという。
カウンターには小型のガスコンロが並び、ラーメン鉢ほどの土鍋が置かれる。
鍋が沸騰するまでの数分間。出汁に浮かんだ自分の顔が、わずかに揺れる。
おひとりさまの、明確な定義はない。年齢や性別の線引きも、特にない。
単独であることは、果たして―。
「咳をしても一人」
明治の俳人・尾崎放哉は、単独の寂寥感を句に込めた。
平成の凡人である自分に、ふと浮かぶ。
「おひとりさましゃぶしゃぶ」
自由律俳句とは、およそ言いがたいけれど。
孤独と捉えるか、至福と捉えるか。
この答えは、「おふたりさま」にも「ご家族さま」にも、聞いてみたい。
(「サンフロ・ジャーナル」7月14日配信)
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