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Vol. 4 10月23日 『ロックンロールミシン』


最近も、浜崎あゆみのPVやCMなど、あちこちで話題になることの多い行定監督が、
かねてよりあたため続けてきたという意欲作。今回は『ロックンロールミシン』をご紹介。

 

 


ガタガタガタガタガタ…。
ロックミシンのうなり声は、なるほど、ロックンロールにも聞こえる。 

巨大な布ロールと裁断クズに溢れる、アパートの一室。
金髪にTシャツ姿の凌一(池内博之)、服飾学校の教師である椿(りょう)、ロンドン帰りのカツオ(水橋研二)の三人は、洋服のインディーズブランド「ストロボラッシュ」を立ち上げようとしていた。

一方、仕事も恋愛もうまくいかない会社員の賢司(加瀬亮)。ひょんなことから高校の同級生である凌一と出会い、誘われるがまま彼らの部屋を訪ねる。

まるで魔法のように、布が洋服に変わる。
好きなことを、自由に。
止まらないミシンの音のように、永遠に続きそうな、奔放な日々。
賢司はどんどん彼らに引き込まれていく。でも…。

自分の居場所はどこにあるのか?
自分のやりたいことは、何なのか?

会社を辞めて「ストロボラッシュ」の立ち上げに参加するも、結局それがやりたいことなのかが分からないまま、賢司は漫然と毎日を過ごす。好きなことに打ち込む彼らを横目で見ながら、憧れと、焦りに苛まれる。

好きなことを生業に出来るのか?
夢見るだけで生きていけるのか?

賢司だけでなく、「ストロボラッシュ」のメンバーも、やがてそういった現実に直面する。

ただ「好きだから」「やりたいから」という気持ちだけで、暮らせるのだろうか。確固たる意思や希望が原動力になっても、必ずしも実際の生活には結びつかない。

理想と現実の境界には、川が流れている。
川幅も、深さも、流れの速さも、人によって様々だ。
そして誰もが、その川を何とかして渡りきりたいと考えている。 
彼らの狭間に流れていたのは、延々と続く「布の川」だった。

物語では、賢司は自分の居場所や好きなことを探せないままでいる。
現実の岸辺に佇む彼が、もし、その先に何かを見つけたら…。
まだ見ぬ対岸に向かって、泳ぎだすのだろうか?

■作品データ/『ロックンロールミシン』■
監督:行定勲
出演:池内博之、りょう、加瀬亮、水橋研二、粟田麗、川合千春、
    永田めぐみ、津田寛治、戸田昌宏、つぐみ、三輪明日美、
    松重 豊、SUGIZO、宮藤官九郎、他

配給:ギャガ・コミュニケーションズ/2002年/日本/120分

※2002年9月28日渋谷シネ・アミューズにてロードショー公開中

 

■『ロックンロールミシン』公式サイト
http://www.slowlearner.co.jp/movies/rrm/index.shtml

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