「そんなの下らないよ!」
“半径数メートルの日常”に終始した内容に、
司会の田原総一朗さん(78)は、本気で怒った。
「でも、実際、そういうご意見が…」
恐る恐る回答を読み上げる。
結局、この結果は最後まで変わらなかった。
唯一、全員の見解が一致したのは、
この国の将来は明るくないということ。
むしろ、絶望であること。
「だから、絶望はひとつずつ潰していかなければいけない」
あるパネリストは言った。
そうしないと、とんでもないことになってしまう。
とんでもないことを、分析する人。解説する人。伝える人。
何とか無くそうと、知恵を出す人。行動する人。
絶望の国の、幸福な若者たち。
絶望の国と、幸福な若者たち。
国の「絶望」と、若者の「幸福」が、夜が明けるにつれ乖離していく。
太陽がちぎれて、沈む夕日と、昇る朝日に分かれるように。
何を以って、何と比べて幸せか。
ブータン国王夫妻の訪日後、とみに語られることになったこの言葉は、
一時一時にこそ、見え隠れする。
そして、気づかないうちに去っていく。
最大瞬間風速のように。
終盤間際、一人ずつの幸せを、順に伺う流れになった。
「絶望を無くす仕組みが構築出来た時」と、政治家。
「資金繰りが上手くいっている時」と、飲食店経営者。
古市さんは、控え目にこう言った。
「…チョコレートを食べている時」
絶望をひとつずつ潰して、
幸せをひと粒ずつ探して、
生きていかないと。
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