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9月15日 プレイバック・報道ステーション企画
『タンザニア難民キャンプ』

駅伝は彼らに希望を与えることができるのでしょうか。
翌日のレースに向けて準備は着々とすすんでいました。

瀬古利彦:「えらい盛り上がっているね。これはスタッフの皆さんに感謝したいですね。」

ボランティアの難民を指揮しているのはNGOライトトゥプレイのフランシス・ルイザさんです。



NGO Right To Play(遊ぶ権利)の
フランシスさん

スポーツの力を信じているNGOの人々です。

ルイザ・フランシス:「私たちはスポーツの力を信じています。歴史振り返れば、ツチ族フツ族という背景もありますが、スポーツによって、バリア、壁を取り除くことができると思っています。ポーツは変化を起こす大きな力を持っています。」

  

宮嶋泰子:「明日走る人?手上げてください!」

ブルンジは男性優位社会のせいか、女の子たちはみな恥ずかしがりやさんですが、
翌日のエキデンレースは男女混合で行われることになっています。

瀬古さんの写真がプリントされたTシャツが用意され、そこには、女性を暴力から守ろうというスローガンがかかれていました。
この駅伝を通して、性的虐待やHIV感染・エイズの問題を考える機会を作ろうという狙いです。駅伝で何かが変わってくれることを皆、期待しているのです。

  

いよいよタスキリレーがアフリカの大地で行われる日、
雨季にもかかわらず、すばらしい天気に恵まれました。

瀬古利彦:「どうなるかな楽しみだね」

ボランティアたちは初めて手にするストップウォッチの使い方を懸命に覚えます。
初めてはくランニングパンツとランニングシューズ。

難民の少女:「こんな格好したことないわ!すごくうれしいわ」

みんな興奮気味です。

  

  


難民たちの中から事前に選ばれた160人の精鋭が、年齢と性別で区間ごとに振り分けられ、20組のミックスチームができました。

ちょっと誇らしげにそれぞれの中継ポイントまで移動していく子供たち。

瀬古さん自ら日本から運んできたタスキを結んで、その使い方を伝授します。

瀬古利彦:「みんなわかってないよ。大丈夫かな」

  

難民を代表して初めて走る喜びと不安。
いよいよスタートです。

  


アップダウンの激しいコースです。
標高1200mの中で、誰が教えたわけでもないのに、みなとてもきれいなフォームです。

  

  

瀬古さんからイカンガーに、
友情のたすきが渡されます。

瀬古利彦:「おぞましい姿を見せてしまった。」

いたるところでハプニングが続出します。
ロープをはさんで、たすきを手渡ししてしまおうとする人がいるかと思えば、係員が世話を焼きすぎて、なかなかスタートできない選手も出る始末。

  

大いに観客が沸いたのが今年箱根駅伝を走った早稲田大学競走部の二人がたすきをつないだときでした。 三戸選手から三輪選手へ これぞ本物のたすきリレー…

「これ箱根以上にすごいと思いますね。木の上から見ている人はいないですからね。」



早大競走部 三輪 真之

早大競走部 三戸 格

レースを見つめる子供たちの目が徐々にかわっていきます。

選手として出場した子供たちにも変化がうまれました。
いつも恥ずかしそうに誰かの後ろに隠れてばかりいた12歳のアイリーン。

6区 1キロを軽快に走ります。
余裕でたすきを渡しました。

レース後のアイリーンはちょっぴり誇らしげに見えました。


N・アイリーン 12歳

瀬古利彦:「がんばれ!がんばれ!」

難民の子供が真似をします。

「がんばれ」

  

そして、アンカーたちのゴールもさまざまでした。

日本チームのアンカーは国連職員の上月さん。

5位でゴール…と思いきや…。

ゴール直前で難民の選手に抜かれてしまいました。
これには観客も大喜び。
難民パワーとエキデンの面白さが炸裂した瞬間でした。

  


難民の男性:「とっても幸せですよ。」
難民の男の子:「たすきを渡して、みんなから応援されたところが最高に面白かった。」
難民の女性:「次々たすきを渡していくので、ひとりひとりは疲れずに、長い距離を走れるのが面白い!」



レースの興奮がさめやらぬまま、会場に音楽が流れると、子供たちがわれもわれもと踊りだしました。

「やっと終わったよ。みんなうれしそうだからこっちまでうれしくなっちゃって。」

  

イカンガー:「コミュニティーライフにとって、例えばムタビラ難民キャンプでは、衣・食・住は足りていますが、それだけでは十分ではありません。スポーツも行われる必要があるんです。」

瀬古利彦:「彼らにやれることはたくさんあるけれど、でも私にやれることはスポーツを通して彼らに勇気と希望を与えることですから、もう一回生きていこうという気持ちにつながっていってくれればいいと思います。」

  


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