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8月25日 プレイバック・報道ステーション企画
『激闘シンクロナイズドスイミング 北京五輪を終えて』

今年の夏にローマで行われた世界水泳を取材し終わって、あまりの日本シンクロのふがいなさにがっくりしながら、ふと、北京オリンピックの直後の企画を見てみたいと思いました。

報道ステーションで取材、編集、放送を終えた自分の作品は必ずこのウェブでご紹介していたのですが、なんと、そのときからぱったりと更新していないことに気づいたのです。ごめんなさい。

1年遅れで、北京五輪のシンクロまとめの番組をここでプレイバックすることにいたします。
改めて1年前を振り返れば、あのときから、今年のローマの惨敗の兆候は既にあったのです。
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2008年8月29日 報道ステーション放送
激闘シンクロナイズドスイミング 北京五輪を終えて


アメリカ女子チーム監督郎平

24年ぶりに銀メダルを獲得

北京オリンピック女子バレーボール、アメリカチームの監督は中国人の郎平でした。
1980年代中国チームのエースアタッカーとして活躍した郎平は「鉄のハンマー」と呼ばれ、中国の国民的ヒロインでした。

今回の北京オリンピックでは、郎平監督の指揮のもと、アメリカは24年ぶりに銀メダルを獲得しています。


体操女子個人総合優勝リューキンとコーチ

20年前のソウルオリンピックで男子体操の金メダリストとなった、ソビエトのワレリー・リューキンはコーチとなるためにアメリカに移住。自ら指導をして育てた娘のナスティア・リューキンが今回の北京オリンピックではアメリカ代表として個人総合金メダルを獲得しています。

各国の卓球選手はその多くが元中国選手でした。

日本選手たちもたくさんの外国人コーチたちに助けられてきました。

  

フェンシングの太田雄貴選手に銀メダルを獲らせたのは、ウクライナ出身のオレグ・マツェイチュクコーチでした。

自転車競技の永井清史が銅メダルを手にできたのも、フランスのフレデリック監督のおかげでした。

選手やコーチが国境を越えるようになり、オリンピックの競技にさまざまな変化が出始めています。

  

宮嶋泰子: 「シンクロナイズドスイミングの世界も例外ではありません。コーチたちが国境を越えることで、大きな変化が見られました。」

日本にメダルをもたらし続けた井村雅代さんが、去年1月からヘッドコーチをしている中国。
藤木麻祐子さんが5年間に渡って技術指導をしてきたスペイン。

これまでメダルを取り続けてきた日本を、これまでオリンピックで一度もメダルを取ったことのない二つの国が追い上げ、北京オリンピックのシンクロ会場は異様な盛り上がりを見せたのです。

藤木麻祐子: 「点が出るまでどきどきして、面白かったと思います。」

井村雅代: 「スポーツになったね。チャンピオンスポーツになったね。絶対、いい演技をしたら点はついてくる、ちょっとでも失敗したらだめ。スポーツをしているって。」


  

前半戦、デュエットの3位争いは熾烈でした。
予期せぬ出来事がまず中国に起こったのです。
井村コーチ指導のもと、21歳の双子の蒋姉妹は筋力をしっかりつけて、北京オリンピックに臨んできました。
準備は万端のはずでした。

まず、最初のテクニカルルーティーン。
今回も長くまっすぐな脚を美しく同調させていきます。
過去、アジア大会、プレオリンピックで、日本を上回っている二人の目標はもちろんメダル獲得でした。

  

しかし、最後の規定要素、360度回転スピンでブンブンが回りきれずに終わってしまいます。

このミスで、中国は日本に0.166リードされ、4位で決勝を迎えなければならなくなりました。

井村雅代: 「失敗したからね。それはしょうがないわね。悪いときは負ける。それは当然ね。」


デュエット決勝の日のサブプール。
リードする日本の金子チーム・リーダーがじっと中国を観察します。

金子 対 井村。
20年間、日本を率いてオリンピックをともに戦ってきた二人が袂を分かち、雌雄を決するときが近づいてきました。

4月のプレオリンピックでは中国に負けている日本。
リードしているとはいえ、ミスは許されません。

同調性と美しさでは中国にかなわない。
それならばと、斬新な振り付けでパワフルに勢いよく演じることで勝負に出ました。

どきどきしながら見上げた得点版には中国を上回る得点が示されていました。

  
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