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1月18日 スポーツ少年団

 
2003年最初のニュースステーション宮嶋企画は子どもたちのスポーツ環境を考える企画です。放送予定は1月23日の木曜日です。
タイトルは「スポーツ少年団」です。スポーツ少年団について、皆さんはどのくらいご存知でしょうか。今改めて注目されているこの組織と総合型地域スポーツクラブについて取材を進めました。

子どもたちの体力が低下しています。
去年10月、文部科学省が発表した体力運動能力調査によりますと、今の子供たちの親の世代が子供だった22年前に比べ、すべての数値で下回っていることがわかりました。

加熱するお受験の影響で、塾通いや稽古事に追われ、外で自由に遊ぶ時間がなくなってしまった子供たち。
更には、テレビゲームの普及によって、この20年、子供たちの遊びの質はすっかり変わってしまいました。サッカーやゴルフをゲームの中ではやるけれど、実際に外を走り回ることはほとんど無いという子どもたちもいるほどです。子どもの仕事は遊ぶことといわれていたのは昔のことなのでしょうか。

そんな中、今注目されているのが、スポーツ少年団です。

とは言っても、「スポーツ少年団」という名前さえ聞いたことのない方もいらっしゃるはずです。実際にテレビ朝日のアナウンス部でみんなに聞いてみたのですが、知っていたのはほんの一部のスポーツ担当アナウンサーだけでした。

渋谷の街にでて、街頭インタビューをしてみたのですが、「知らない」という答えがほとんどでした。
しかし・・・
実は、スポーツ少年団出身のオリンピック選手はとっても多いんですよね。

長野五輪のスキージャンプ団体であの感動の金メダルを決めた原田雅彦選手はこう話してくれました。「スキージャンプを始めたきっかけは、ここからです。スポーツ少年団があったおかげで、今の私があると言っても過言じゃないですね。」

長野五輪銅メダリストのスピードスケート岡崎朋美選手も同様です。「スポーツ少年団に入ったのが4年生で、中学に入っていってもスポ小でやっていました。やはり、自分の原点と言ってもいいですね。」

スピードスケート田畑真紀選手によれば、「小学校では、一応全校生徒ほとんど入っていたんで、楽しかったです。」とのこと。

世界最速の男、スピードスケート清水宏保選手は北海道帯広でスポーツ少年団に入っていました。「少年団があったことで楽しさって言うものを味わえたし、学校以外の友達もたくさんできましたからね。」昔を懐かしそうに目を細めて話してくれました。

東京オリンピックを二年後に控えた昭和37年、スポーツ少年団は財団法人日本体育協会によって創設されました。
それから40年経った現在では全国に3万4千700の団体を抱え、団員数91万人、指導者18万人と全国的に展開する最も大きなスポーツ組織となっています。
扱っている競技は野球、サッカー、剣道、バレーボール、バスケットボール、空手道、ソフトボール、柔道、卓球、その他いくつもの種目を組み合わせる「複合」など、登録されているだけで、48競技もあるんだそうです。

小学生の加入率を都道府県別に見てみると、東京都、神奈川、兵庫などでは3%にもみたない低さですが、色が最も濃い部分は小学生の20%以上がスポーツ少年団に参加している所で、15の都道府県に及んでいます。こうしてみると、スポーツ少年団は地方ではかなり盛んにおこなわれているんですね。
(濃いところが20%以上。中間色10~20%未満。薄いピンク5~10%未満。白色0から5%未満)

小学校で週五日制が取り入れられ、土曜、日曜をいかに過ごすかということに関心が払われる中、スポーツ少年団の存在はこれまで以上に大きなものになってきています。
一体スポーツ少年団とはいかなるものか、まずは長野県に出かけてみました。

長野市の若穂ジュニア卓球少年団では、定期練習は週に一度ですが、子供たちがやりたいときにいつでも練習できるようにと、公民館を借りて、練習環境を整えています。

「いいぞいいぞ、ナイスボール、いいぞいいぞ。」と子どもたちを励ましながらボールを送っているのは藤原さん。
「募集って特にしたことないんですよ。だから口コミできているんですけれど。」
卓球を始めたばかりの子どもからかなり上手な中学生まで、公民館には軽快な音が響き渡っていました。
中には、学校の部活が廃止されたために、放課後ここで練習をする中学生たちもいます。
複数の指導者たちが子供たちのレベルに合わせて、練習を見ています。
指導者はみんなボランティア。
「ビールより卓球の方が楽しいんですよ。他のお子さんも皆自分の息子みたいなものだからね。まあ、当分はこの生活がつづきますね。」
仕事が終わったら、公民館で卓球を子どもたちに教えるのが日課になっているんですね。

スポーツ好きなおじさんが近所の子供たちの面倒を見る、こんなアットホームな雰囲気がスポーツ少年団にはあるようです。

→次のページは「スポーツ少年団の問題点と新しい形」
 
   
 
    
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