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4月27日 オリンピック選手は悩み多き人種!?

 
華やかなスポットライト。若き日に手にする人生最大の栄光。
人生の成功者そのものに見えるオリンピックのメダリストたち。
しかし、実際に彼らが抱える悩みは、
われわれが想像するよりはるかに深いもののようです。

スポーツ選手が書いた本は数あれど…
 

通勤の電車の中で読みながら、なるほどと頷いたり、おやおやと吹き出したり、とにかくあっという間に読んでしまったのが、ソウル五輪のシンクロ銅メダリスト田中ウルヴェ京さんが書いた、 『 恋も仕事も結婚も!わくわくハピネス術 ( 株式会社しょういん )』 という本です。

選手時代の嫉妬心や虚栄心など、自らの心情を正直に告白してあって、こんなにありのままに書いて大丈夫かしらと心配してしまうほどでした。

よくぞここまで書いたものだと感心!

これまでスポーツ選手が書いた本は数多くありましたが、いずれもどこか格好よくて、嘘くささが潜んでいたように思うのです。
でも、これは違う。
デュエットのパートナーだった小谷実可子さんに対する気持ちなどが、リアルにありのままに書かれているのです。
当時を知っている私としては、ええ!?こんなことまで書いていいの?と、いささかはらはらどきどきしながら読んでおりました。

世の中で言われているスポーツの美しき友情や、
スポーツの美学とは程遠い部分までしっかり書かれているのですから。

きっと、メダルを取ってから十数年の月日がたち、それらの出来事をすべて笑って話せるほど、客観的に当時の自分自身を見られるようになったからこそ書けたことなのでしょう。
三枚目に徹してここまで告白し、さらに自己分析できるのは本当に凄い!の一言です。

ただひたすら目標に向かって走りつづけてきたスポーツ選手たちが、目標に到達したあと、どんな人生を選んでいくのかというのは、私にとっても大変興味深いテーマです。

ラスベガスでショーデビューをした奥野史子さん

昨年末にニュースステーションでもご紹介した、バルセロナ五輪のシンクロメダリスト奥野史子さんもそうでしたが、一時的に自己喪失状態に陥ってしまうケースは多々あるようです。
奥野さんは自分自身のかつての夢、ラスベガスのショービジネスの世界で水中ショーのアーティストとなる道を選びました。

初めて本を出版した田中ウルヴェ京さん。
写真は福岡世界水泳でのシンクロ中継の様子
 

田中京さんは米国に留学し、博士号を獲得し、留学中に出会ったフランス人男性と結婚。
出産を経て、現在はスポーツカウンセラーとして活躍しています。

メディアによって作られたメダリストとしての虚像を脱ぎ捨て、本当の自分の姿を探しながら 「 自分らしく生きる 」 ことの大切さを模索していく様は、われわれアナウンサーがテレビ画面の中で作られた虚像とどう折り合いをつけて生きていくかという点で共通するところでもあり、考えさせられることが多くありました。

   
 
    
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