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8月18日 秋田の夏・ワールドゲームズ


今年の秋田は暑い。いや、熱い!
8月16日から秋田はワールドゲームズで、世界の言語が飛び交う国際都市となっています。

顧客と、選手の交流

まったくお恥ずかしい話ですが、ワールドゲームズという名前は聞いたことがあったものの、実際にどんな競技がどのように行われるのかを知りませんでした。
スコットランドで行われる伝統の木を切り倒すスピードを競ったり、木の柄がついたハンマーを振り投げる競技などがあるのだろうなどと勘違いしていたほどです。
関係者の皆さん、ごめんなさい!

プログラムを見てびっくり。

ビリヤード、ボディービルディング、ボウリング、フィールドアーチェリー、スポーツアクロ体操、パワーリフティング、水上スキー、合気道、ビーチハンドボール、ゲートボール、ローラースケーティング・・・

オリンピックの競技種目以外から選ばれたものがずらりとならんでいるのです。
初めて目にする競技もたくさんありました。
その中からちょっと代わったものをご紹介しましょう。

何で芝の上に釣竿があるの?

あれっ?芝の運動場の横につり竿が・・・・
川もないのに一体どうするの?
これぞまさしく陸釣り。

実はこれ、「キャスティング」という競技なのです。
川で魚を釣るときの技術を陸で競おうというスポーツです。

「フライ・アキュラシー」では、毛ばりをいかに正確に投げられるかを競います。
直径60センチのたらいに水が張られ、それをめがけて、つり竿をコントロールしていきます。
一番近いもので8メートル、最も遠い的が13メートル。的は5つ並んでいます。
前半と後半で投げ方が指定され、20回投げてその正確さを競うのです。

「フライ・ディスタンス・シングルハンディッド」は遠投比べ。
片手投げのフライフィッシングの道具を使って、どれだけ飛ばせるか、その距離を競います。
より遠く飛ばすために、ラインの重さは通常の物の数倍。
なんと、60メートルを越える距離を狙うんだそうです。

1860年代にイギリスではじめられたこのスポーですが、今回が、日本で行われる初のキャスティング国際大会です。
魚がつれるつれないよりも、竿を操る技術を競うスポーツ。
これなら、「俺も結構いけるぞ」とおっしゃる方も多いのではないでしょうか?

フライングディスク

フライングディスクと言ってもあまりぴんとこないかもしれませんが、フリスビーと言えば、もうおわかりですよね。
フリスビーというのは、アメリカのエール大学のキャンパスの近くにあったお菓子やさんの名前で、そこのパイ皿を投げ合ったのが始まりなんだそうです。
さて、その、「フライングディスク」をつかった「アルティメット」を見る機会にめぐまれました。

ルールは身体接触を禁じたディスク版アメリカンフットボール。
今回は男女混合の6人制、男3人女3人で戦います。この100メートル×7メートルの芝生のコートでパスをつなぎながら進み、相手陣地で味方がディスクをディスクをキャッチできれば1点となります。

どこに投げるか瞬時の判断が重要

前半45分、10分間のハーフタイム、後半45分のゲームはマンツーマンで動き回っている選手にとっては相当ハードです。

広い芝生の上で、男女混合でキャっキャ言いながらゲームを進めるアメリカの学生たちの姿がイメージされるこの競技。
なんと審判がいないんですね。フェアプレーの精神にのっとって、選手がセルフジャッジをするのです。

練習場所に恵まれず、河川敷で練習をつんできた日本チームが大健闘で銅メダルを獲得。
初めてアルティメットを目にする応援席も熱く燃えていました。

とにかくよく動く!

競技自体見ていて解りやすいということもあるのですが、観客席は熱中しながらもどこかのどかな気分で応援しておりました。
芝の香りをかぎながらの陽気なムード、それはフライングディスクが風に乗りながら、びゅーんと飛んでいくリズムのせいなのかもしれません。
ゲームと一緒に観客席もため息をついたり、おーと感嘆の声をあげたりと、実に素敵な空気が会場に流れていました。

競技が終わった後、子供たちの声に振り向くと、さきほどまで観客席にいた子供たちが隣の芝生の上でディスクを投げなげあう姿がありました。

地元の人も熱い応援を送る
 
現代のスポーツは二極分化が進んでいるといわれています。
トップレベルの選手はプロとして見せるスポーツに邁進していきます。
そしてそれを見る観客は人間の極限の技と力を見に行きます。
かつてアトランタ五輪の陸上競技を「まるでローマ時代のコロセウムのようだ」と表現した人がいましたが、豊かな白人がチケットを買い、黒人選手の戦いを見にくると言う独特の世界。
それは明らかに見世物の世界でした。

見る者と競技する者の距離が限りなく遠くなりつつある現代スポーツの中で、ワールドゲームズの競技は見るものもする者も楽しい、スポーツの原点を思い起こさせてくれました。

 
スポーツ古今東西
 
モスクワ大会に始まり、ロス、ソウル、さらには冬の大会も経験し、シドニー大会がなんとオリンピック取材10回目になる宮嶋泰子アナウンサー。取材ではその選手の持っている「根」を掘り起こそうと歳甲斐もなく?大声を張り上げて走り回り、スポーツを縦から見たり横から見たりと大忙し!他とは一味違うスポーツ企画をこのコーナーでぜひお楽しみください。
 
 
    
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