スポーツが盛んになるにつれ、様々な分野で、スポーツに関する仕事をする人々が大勢現れ始めました。
そのスポーツ固有の技術を指導するコーチはもとより、いまでは、肉体をビルドアップするためのウェイトトレーニング専門コーチの存在もあたりまえとなってきています。
より快適なウエアーや用具を開発するスポーツ用品メーカー、選手たちの食事に足りないものを補助する食品メーカーや、スポーツ栄養学の専門家。さらにはマッサージや針灸治療など選手の体の手入れをするスポーツトレーナーたち、スポンサーとの契約や公演、出版などの調整を行うマネージャー、さらにはイベントなどを扱うエージェントなど、スポーツはひとつの産業となり、それを取り巻く環境は、日増しに大きくなってきています。
高尾良英ドクター
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医療に携わる人々のなかにもスポーツドクターと呼ばれる人々が存在していることはみなさんもご存知でしょう。
スポーツドクターと一口に言っていますが、実は3種類のスポーツドクターが存在するのです。私自身スポーツにかかわる仕事をしながら、恥ずかしいことにその差をよく知りませんでした。
日本オリンピック委員会選任スポーツドクターとしてこの10年間、スケート選手たちを診ている高尾良英ドクターに伺いました。
@一つは、日本医師会の認定したスポーツドクターで、これは開業医が中心となっています。競技というよりも、むしろ健康スポーツのアドバイスを的確にしてくれる医師です。成人病の予防のためにどのようなスポーツをどの程度行えばよいかなどを教えてもらうには最適のドクターです。
A二つ目は日本整形外科学会が認定したスポーツドクターで、勤務医がそのほとんどを占めており、スポーツで痛めた身体の治療をベースに考えています。半月板を割ってしまったバレーボールの選手が駆け込むのはこの医師が最適でしょう。
B三つ目は日本体育協会が認定したスポーツドクターで、これは、現場で競技者を診るドクターです。ドーピングの検査などを担当するのも、これらの医師が中心となっています。
それぞれのスポーツドクターは微妙に役割が違っているのですね。
パンフレット |
さて、スポーツドクターである高見医師によれば、最近、スポーツと医療の関係が変わり始めているそうです。
これまで私たちは、「スポーツは元気な人がやるもので、医療は体の悪い人が受けるもの」というイメージを持っていました。
スポーツと医療は相反するものだと考えていたふしがあります。
ところが最近では、スポーツは医療の延長線上にあると言う考え方が主流になりつつあるとのこと。
体の悪い人が治療をうけるのが、医療。すなわちマイナスからゼロを目指すものであるならば、スポーツは健康を増進させるためのもので、ゼロからプラスに持っていくものという考え方です。
医療によってマイナスからゼロにし、スポーツによってゼロからプラスにしていく。
医療とスポーツを互いに強く結びつけて考えていこうという考え方が医療現場から出てきているらしいのです。
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藤沢湘南台病院 |
病院に隣接したフィットネスクラブ |
この考えに基づいて作られた施設を発見しました!
神奈川県の藤沢市高倉にある、藤沢湘南台病院。病院のすぐ横になんと、フィットネスセンターがあるではないですか。
この二つの施設は同じ経営者によって運営されています。
フィットネスセンターは病院で治療を受けた人のリハビリ施設ではありません。病院で、もうあなたの病は治ってきましたよと言われた人が入会を許され、更なる健康増進に努めることができるようになっているのです。もちろん、一般の方も入会OKです。プールにスカッシュコートにランニングスペース、トレーニングマシーンも完備していて、その明るい雰囲気に、もし近くに住んでいたら私も入会したいと思ってしまったほどです。
当然、この施設にもスポーツドクターがいて、さまざまな検査やアドバイスをしてくれることは言うまでもありません。
病院とフィットネスセンターのコンセプトをあわせると「マイナスからゼロに、ゼロからプラスに」となり、「この一箇所であなたの健康を管理します」ということになります。全国でもこのような施設はまだ数箇所しかないそうです。
病院の横に
フィットネスクラブ・ライフがある |
これからの高齢化社会、医療費高騰化社会の問題を解決するためのキーがここに隠されているような気がします。
スポーツはいまや医療の延長線上にしっかりと位置をしめる、人間の大切な営みの一つとして位置づけられるようになってきたということでしょうか。
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