シドニーの思わぬ仲間が、正月の餅つきで再会しました。
シドニー五輪公開競技・車椅子レースで
銀メダルを獲得した土田和歌子選手
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1月6日、アジアの最速スプリンター伊東浩司選手が、なんと、シドニー五輪公開競技の車椅子800メートルレースで銀メダルをとった土田和歌子さんと一緒に餅つきをしました。オリンピックの選手村で知り合ったのが縁で、伊東選手が、東京国立にある多摩害者スポーツセンターの正月イベントに参加したのです。
その後、土田選手の指導をしている三井コーチも交えて、二人は実に3時間近くも、お互いの陸上競技に関する考え方を交換しあいました。
以前ですと考えられない組み合わせですよね。日本のスポーツ界もずいぶん変わってきたなというのが実感です。
日本はタテ割り社会だとよく言われます。スポーツ界などはその最たるものでした。
柔道なら柔道だけで、陸上なら陸上だけで集まり、他の競技の選手と交わると言うことが長い間ありませんでした。
餅つきをする伊東浩司さん
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競技者は自分の競技だけにじっと向かい合い、他のスポーツには目もくれずに黙々と精進していくべきであるという考え方が支配的でした。それは、日本のスポーツが、武道の精神性をどこかで引き継いでいたためかもしれません。剣道、柔道などの「道」という考え方があるために、寄り道などとんでもないということだったのでしょう。
また、タテ割り社会の年功序列の閉ざされたシステムの中で、他の競技から新しい情報が入って来ることによって、既存の練習方法や考え方をかきみだされることを恐れたのかもしれません。既得権が侵されることを嫌った人々がいたということでしょうか。
土田和歌子さんも車椅子での餅つき
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アメリカなどでは、夏は野球、冬はフットボールの選手として活躍するスポーツマンが賞
賛され、トレーニング方法も相互的に研究されてきました。こうした欧米のスポーツに対する考え方と、日本のそれとは対照的だったのです。
しかし、そうした古くからのセクト主義も最近では少しずつ変わってきているようです。世界と勝負するためには様々な競技のコーチがお互いに意見を交換しあうべきであるとして、JOCもコーチ会議を開くようになっていますし、選手間でも、インターネットを通じてメールのやりとりなどで、互いに情報交換をするようになっています。
スポーツはどんな競技でも、人間が自らの頭脳で判断したことを肉体を使って表現していく作業です。その共通点はたくさんあるはずです。
伊東浩司選手
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特に伊東浩司選手などは、独自の練習方法を探るために、より多くの人々から話を聞いて、いろいろな方法にトライをして、ここまできた選手です。
「100メートルで10秒を切って走った日本人はまだ誰もいない。前例がないのだから、そのための練習方法は、自分で探って行くしかない。今までの練習方法を踏襲していては、そこまでしか行かない。」と常々発言しています。
日本の陸上界の常識といわれた「ももあげ」練習を否定した伊東選手ならではのコメントです。
こうした、自ら何かを探っていく力が、これからの21世紀に、スポーツ界だけでなく全てに求められているのかもしれませんね。
ところで、あなたの手の指は長いですか、短いですか?
伊東選手から面白いことを聞きました。
「速く走る人は、ほとんどが指が長い」って。
手の指が長い人は足の指も長いので、土を押すときにしっかり指でキャッチできるんじゃないかなというのがその説なのです。
あなたはいかがですか?
ちなみに私の手の指は・・・・・本当に、ミジカイ!
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