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9月18日 高橋尚子シドニー到着第一声詳報!


練習メニューは全部こなせた!

いよいよ、シドニーオリンピックの開会式が行われる9月15日、女子マラソンの高橋尚子選手と、市橋有里選手がシドニー入りしました。二人ともとっても元気そう。まずは、高橋尚子選手と小出義雄監督のシドニー空港でのコメントをご紹介しましょう。

米国のコロラド州のボルダーでトレーニングをしてきた高橋尚子選手はシドニーまで20時間近いフライトにもかかわらず、それほど疲れた表情もなく、ニコニコ顔で質問に応じていました。

 「ついに来ました!20時間近い移動でしたが、ぐっすり寝てきました。もうシドニーなんですね。不思議な感じです。出てくるまでオリンピックという言葉をほとんど口にしなかったし、隔離された生活をしていたので、ここに来て、『来たんだ!』という不思議な気持ちです。」


標高3500mでも練習

ボルダーで公開練習をしてから2ヶ月。その間いったいどんな練習をしてきたのでしょうか。

「やるべきことはすべてやったという感じですね。怪我もなく、一日一日一生懸命でした。今の体調は普通と変わりないですね。良くもなく、悪くもなく、去年世界選手権の前に怪我をして出場できなかったことがあるので、怪我がないことだけでも本当にうれしいです。」

よく選手たちはオリンピックを前にして、気持ちが高まって、ナーバスになったり、ライバルの選手のことを考えたりするといいますが、高橋選手はどうだったのでしょうか。


走ることが大好き

 「この1ヶ月ぴりぴりすることはまったくありませんでした。
もっと気持ちが盛り上ってくるかと思ったのですが、不思議なほど感じないですね。このあと10日ありますから、徐々に気持ちを盛り上げていきたいと思います。
ライバルのことを考えることもありませんでした。7月までは去年の世界選手権前の絶好調の時の日誌を見ながら、当時と今の自分を比べてばかりいたのですが、8月に入ってからは、一日一日、自分の練習をどうこなすかで精一杯だったんです。今日の練習をどう乗り切ろうかと、目の前のことで頭がいっぱいでした。」

終始ニコニコと答えていた高橋尚子選手。
最期のコメントが今の本当の心境でしょう。

「このまま怪我をせずに、スタート地点におねがいだからつきたい!!」


陸上の神様も味方してくれるよ

そして、高橋尚子選手の後から、歩いてきた小出監督を見て、取材陣はびっくり。なんとビール腹を突き出していた小出さんが、この2ヶ月ですっきり。10キロ近く減量したのではないでしょうか。

「いやあ毎日20キロ、高橋に走らされてしまったよ。はははっ」

監督も練習に付き合って、しっかり絞ってきた様子。相当内容の濃い練習ができたようですよ。
気になる高橋選手の仕上がり具合はどうなんでしょうか。


笑顔が素敵なQちゃん

「名古屋国際マラソンのときを4割とすると、その3倍はいいね。故障がまったくなくて、本人もびっくりしているよ。トラブルが一度もなかった。風邪も引かなかったし、脚もこわさなかった。だから、練習メニューが全く狂わなかった。やることは全部やったね。去年のセビリアの世界選手権の前の故障で用心深くなっているので、ケアーをしっかりして練習方法も工夫したからね。あれが本当にいい薬になったね。」

早速レースについて聞いてみましょう。

「レースは3つか4つのパターンが考えられるよね。1最初から飛ばす。2今回は春の大会なので、賞金を稼ぐランナーも含めて、史上最強のメンバーが出場している。だから、けん制しあうことも考えられる。まあこんな風に考えていくと、4つほどあるんだね。今の段階で、どんな作戦を取るかはぜんぜん決めてはいなよ。おまえ、好きなようにやれ!と言ってあるんだ。」


怪我がなくて本当によかった。

「勝負どころ?25,26キロの高速を駆け上がっていくところ。36,37キロの後半の上り下りのあるところ。今回も裏道を全部調べてあるんで、携帯を持って先回りして、『それいけ!いまだあ!』と叫びますよ。ライバル?そりゃ、ロルーペでしょう。スピードが違いますからね。シモンもロバさんも気になるな。山口選手、市橋選手もね」

これまで、バルセロナオリンピックでは有森選手に銀メダル、アトランタでは銅メダルを取らせてきた小出監督ですが、当時の有森選手と比べて高橋選手の仕上がり具合はどうなのでしょうか。


メダルハンター小出義雄監督

「有森のころと比べてって、もう、8年前でしょう。ぜんぜん違うよね。あのころと10分以上違うからね。スピードが違うんだよ。今度は2時間20分から21分の勝負になるからね。まるっきり練習が当時と違うんだ。」

そして最後のコメントが小出監督の希望そのものでした。

「僕はね、本当に走るのが大好きなんだ。かけっこ大好き。そして高橋も走ることが大好きなんだ。有森、鈴木もがんばったけれど、高橋は本当に走ることがすきなんだ。40年以上選手を見てきて、ここまでマラソンが好きな子は初めてだもの。走ることが大好きな小出と、走ることが好きで好きで仕方のない高橋がいっしょになったら、陸上の神様もきっと味方してくれるでしょう。」


名古屋の3倍は調子がいい!

豪快な笑いを残して、小出監督と高橋はシドニーの拠点へと移動していきました。

いやいや、今から本当に楽しみなコメントを残してくれたものです。

それにしても2時間20分から21分台のレースになるだろうとは・・・・・・唖然!

 
スポーツ古今東西
 
モスクワ大会に始まり、ロス、ソウル、さらには冬の大会も経験し、シドニー大会がなんとオリンピック取材10回目になる宮嶋泰子アナウンサー。取材ではその選手の持っている「根」を掘り起こそうと歳甲斐もなく?大声を張り上げて走り回り、スポーツを縦から見たり横から見たりと大忙し!他とは一味違うスポーツ企画をこのコーナーでぜひお楽しみください。
 
 
    
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