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全国に広がった善意の連鎖『タイガーマスク運動』。
最初の伊達直人さんがクリスマスに子供たちへ贈ったもの、
それはランドセルでした。
どうしてランドセルだったのか。
その製作過程を覗いてみると、
贈った人たちの気持ちとシンクロしてくるような、
かつて6年間を共にした旧友の良さを再発見するような、
そんな感覚に陥るかもしれません。
ここは、足立区西新井にある『土屋鞄製作所』。
この時期、ランドセル作りは佳境を迎えます。
工房に入ってみると…
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お邪魔しま〜す。この時は、紺と黒のランドセルを作成中。
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響くミシンの音。
積み重なるランドセルの隙間に、
職人さんがあぐらをかいています。
この工房のランドセルは、すべて手作りです。
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真っ直ぐ、ズレのないように…
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この道44年の職人、山岸さん。
ランドセルの背中の部分と箱の部分をつなぎ合わせる作業をしていました。
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曲がっていないか確認。
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ランドセルを見つめる目が鋭く光ります。
糊で貼った部分が反発してくるため、
自分で真っ直ぐだと思っていても曲がってくることもあるそう。
すべては目分量、職人の勘が必要とされる作業です。
これが何年やっても難しいのだとか。
そんな山岸さんに、手のひらを見せていただきました。
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これぞ職人の手!右手の中指と薬指に、タコが。
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タコは、職人の勲章ですね。
ヤットコと呼ばれる道具を強く握って革を押さえる、
それを繰り返しているうちに、こうなったのだそうです。
「最初は、会長と奥様と私の3人しかいなかったんだよ。
ランドセル一本で始めたの。」
そう語る瞳は温かく、人情味溢れていました。
ランドセルを作る過程は、まるでリレー形式。
職人が手を加えた革を、隣の職人がまた手を加え、
少しずつ形になっていきます。
次は…この角のひだの部分、気にしたことありましたか?
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丸で囲ってみました。
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実はこれも手作業で作られているんです!
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左手で押さえながら、右手のピックのようなものでひだにしていきます…。
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ほらね
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ひだの幅を均等に作っていきます。
こんなところにも、職人の細やかなこだわりが光っていました。
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こちらは、小学生の背中に直接当たる部分。
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背中の部分には、数種類のクッションを使っています。
当たり心地が柔らかく、
かつ6年間経っても潰れにくいように工夫されているそうです。
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針の先に神経を集中!
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糊付けした部分をミシンで縫製。これも手作業。
角は厚みがあるので、二重に。
表から見ても裏から見ても縫い目がぴったり重なるように、
慎重に縫っていきます。
革に厚みがあるので強いモーターを使い、
針からは、摩擦で煙が出ていました。
1枚の牛の革から始まり、
1年近く前から準備をして、
1日100個ほどを作り上げていきます。
かつては赤と黒2色が主でしたが、
今は、
牛革や馬のお尻を磨いたコードバン、
人工皮革のクラリーノのような、素材、
ピンクやブルー、キャメルのような色、
さらには内側の柄などを組み合わせると、
50種類ものバリエーションがあるそうです。
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これは牛革のピンク色。
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手間隙かけて作られるランドセル。
実は、ひとつ2万円〜10万円もする高級品です。
これを贈るというのがどれだけ大変なことか、
大人になった今、分かる気がします。
子供たちを大切に思う精一杯の気持ちが、
込められているのかもしれませんね。
…なんだか、
自分が使っていたランドセルに、もう一度会いたくなってきました。
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