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6月12日
6/12   クロアチア編(1) 「クロアチアの強さの秘密に迫る」



ズラトコ・クラニチャル監督

日本の第2戦の相手国であるクロアチアはバルカン半島にあります。
日本からの直行便はなく、私はフランクフルトを経由してクロアチアの首都ザグレブに入りました。
クロアチアは、旧ユーゴスラビア時代にはイタリアW杯ベスト8に入り、独立後の98年フランスW杯では3位に入るなどサッカー強豪国です。
今回のロケでは、「クロアチアの強さの秘密に迫る」をテーマに、様々な取材を敢行してきました。
ザグレブに到着して、早速、クロアチアサッカー協会で、クラニチャル監督に話を聞きました。
そこで、クラニチャル監督は極めてオープンに我々の質問に答えてくれました。


クロアチアサッカー協会の入口には日本語の看板が!!
2002年W杯でキャンプ地だった富山県の人々から頂いたそうです。
 
Q. 今回のクロアチアサッカーの特徴、持ち味とは?ーーーーーーーーー
A. 等質性というか、コレクティブ(組織的)にやっていくというプレー、そういうことが出来るチームであるという点が特徴です。
しかし、それだけのことができる、個人の力もあるというのも言わせてください。
監督として私が選んだ選手たちの実力があるということです。
 
Q. 98年チーム(W杯3位)と比較するとどうですか?ーーーーーーーーー
A. 比較は大変難しいです。3位に入ったということはクロアチアだけでなく、世界のサッカーの歴史に入ったことを意味します。
ただ、一ついえるのは大変な才能を持つ個人の集団だった。
どんな敵が相手でもシューケル、アサノビッチ、ボバン、ボクシッチ、
そういった各クラブで大活躍しているビックネームが集団としてやってきたのが98年。
今は、実力のある個人はいますけれども、そのレベルではないことは認めざるを得ません。
ですから、今の代表に関しては、チームプレーを基本に、ディフェンスでも中盤でも、コレクティブ(組織的)なチームプレーをベースにしています。
98年はチームとして組織する必要もないくらいでした。
自分たちで試合をやって、どんな相手でもいい結果をおさめた。
98年の代表はとても偉大でした。
今回の代表と比較して甲乙つけることはナンセンスです。


ザグレブ市街
 
Q. 98年の日本戦は実際にスタジアムでご覧になっていたのでしょうか?
A. はい、あの試合はスタジアムで見ておりました。
皆さんもごらんになっていたと思いますが、あの試合は1対0と大変苦戦しました。
日本がクロアチアと同等の力を発揮した、イーブンの試合だったといっていいと思います。
個人の力は、多少クロアチアが上回っていたために、シューケルが得点を決めたわけです。
ゲームとしてもクロアチアが優勢に立っていました。
しかし、本当に僅かな差だったと思います。
その僅かな差がクロアチアを3位に導き、そして日本は望まれる結果を出すことが出来なかったという形になりました。
しかし、あの試合で見せた日本の規律といったものは大変大きな印象を残しました。
そして、大変攻撃的であったと思います。
GKのラディッチが二、三回びっくりするようなシーンがありました。
02年の本拠地開催という経験を経て、今回のW杯でも日本は大変、尊敬すべきチームだと思います。
その意味でも今回もクロアチアにとって、大きな障害になると思います。
障害というのは、我々クロアチアの目的である一次予選突破という目的を達成するうえで、
大きな壁として日本が立ちはだかっているという意味です。
率直に言わせていただきますと、クロアチアと日本双方にとって第二戦は大変重要な戦いになると思います。

6月18日は、日本にとってもそうですが、クロアチアにとっても運命の決戦になります。
そして、クラニチャル監督にクロアチアの人々にとって、「サッカー」はどのような存在ですか?という大胆な質問をぶつけると、こんな答えが返ってきました。

クロアチア人にとってサッカーとは、朝食であり、昼食であり、夕食であります。
本当にそれだけポピュラーなものです。


私も実際にクロアチアに行って感じたのですが、クロアチアの文化に「サッカー」は欠かせないものです。日常生活にサッカーが自然と溶け込んでいます。
人々は毎日、顔を洗って歯を磨くことと同じように、「サッカー」を観て、贔屓のクラブ、代表チームについて論じ合います。新聞、テレビもスポーツといえば、「サッカー」が基本で、クロアチアで最も権威のある有力紙でさえ、常に一面に「サッカー」記事を掲載しています。
人口450万人ほどの小国であるクロアチアが「サッカー強国」である理由もここにあります。
次回も引き続き、文化として「サッカー」を内包しているからこその「強さ」に迫ります。


ザグレブ市街
 
 
    
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