前回もお伝えしましたが、「ヨハネスブルク」はエリアによって、その「空気」「雰囲気」が変わります。
警察官が多く配置され、高級住宅街に隣接するエリアは比較的「安全」とされ、実際に食事や、買出しもしましたが、W杯を楽しむ人々の熱気はひしひしと感じました。
特に「ネルソンマンデラスクエア」という高級ショッピングモールでは、世界各国のサポーターが集まり、
オープンテラスのレストランで「W杯」という祝祭を大いに楽しんでいます。
ただ、今日、オランダ代表の取材に行った、犯罪多発地域であるダウンタウンは、「空気」「雰囲気」が明らかに変わります。
正直、車の中からデジカメで撮影するのもためらうほどの「圧迫感」、「見られている」という雰囲気でした。
路地で、屈強な男たちがたむろしている様は、「世界で最も危険な都市の一つ」であることを五感で感じることができました。そのエリアはいわゆる貧困地域というよりかは、ナイジェリアやジンバブエといった、政情が不安定な近隣諸国からきた無法者達が跋扈する地域とのことでしたが、その言葉通り、体格の良い、見るからに腕っ節が強そうな若者が路上に溢れていました。
今回の取材に向かう車中の中で、カールから与えられた指示は下記の通りです。
@ 集団で動き、決して単独行動はしない。
A カールが危険と判断した場合は車に乗り、すぐその場から離れる
B 基本的に自由に撮影して良いが、見ていて危ないと判断したら、すぐ撮影を止めて欲しい。
「そこまでの指示が出る場所ってどんな所なんだよ!!」
目的地に着くまでは、いつも通りみんなで軽口を叩きながら、和気藹々とした雰囲気でした。
ところが、車窓から見る景色が一気に変わってくると、沈黙が支配するようになりました。
建物の窓という窓には鉄格子がはめられており、路上には暗い顔をした人々がただ、立ちすくんでいます。
所々から奇声が聞こえ、足早で通り過ぎていく人達。
そこは、まぎれもなく、悪名高い「ヨハネスブルク」でした。
では、なぜ、そこまで治安の悪い地域で「オランダ代表」は交流を図ったのか?
その答えは、「ヨハン・クライフ」にありました。 |