「中西学によってキング・ファレの肉体が破壊されてしまうのでは?」
私は前途洋洋、光り輝く未来が待つ「キング・ファレ」がレスラー生命を断たれてしまうことも有り得ると考えました。
とにかく、「中西学」は、想像を絶するほどのパワーを持っています。
私は新人時代に、上野毛道場で「プロレス」の凄みを体験するため、中西学の120%の逆水平チョップを胸に受けたことがあります。
受けた瞬間、私の肉体は吹っ飛びました!!
胸には5本の指がくっきりとミミズ腫れとして残りました。
あまりの衝撃に呼吸が困難になります
呼吸をするだけで、胸が痛みます。
時が立つと、赤いミミズ腫れが徐々に黒くなります。
プロレスラーの凄みを伝えるには、十分すぎるほどの「逆水平チョップ」でした。
しかし、私の真っ赤に腫れ上がった「胸の勲章」は、結局、オンエアされることはありませんでした。
当時のプロデゥーサーの判断で
「吉野の胸は毛深いから、放送はまずいだろ」との高度な判断による、いわゆる「お蔵入り」です。
そして翻って4月4日後楽園ホール。
中西学は、キング・ファレの胸に、何度も逆水平チョップを叩き込みました。
私はその中西学の「逆水平チョップ」をこのよう伝えました。
「プロ野球選手が金属バットでフルスイングするぐらいの威力があります!!」
大袈裟でも、誇張でもなく、私が経験した中西学の逆水平チョップは、脅威の一撃でした。
実況しながら、新人の頃の過酷な経験が脳裏に蘇りました。
だからこそ、心情的に「キング・ファレ」に想いが募りました。
厳しいプロレスの世界に、「大志」を胸に飛び込んできた「キング・ファレ」、
厳しいアナウンサーの世界に、「折れない心」で立ち向かう8年前の自分。
私のプロレス実況の原点ともいえる、「中西学の逆水平チョップ」は未だ健在でした。
そして、それに立ち向かう「キング・ファレ」=「新日本伝統の反骨心」、「折れない心」、も確実に育っていることを確信しました。
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