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2月17日   ワールドプロレスリング実況三銃士の闘魂コラム#64
〜新日本の試練〜

1月4日、東京ドーム大会が終わりレスラーとの契約更改を迎えた新日本プロレス。
その新日本プロレスが試練を迎えています。
プロレス界の現状を反映してか、
今年の契約更改はレスラーにとって、大変厳しいものとなりました。
1月31日時点で、退団者は11名。
そして、リングアナの田中秀和さんも、
今シリーズ限りで退団することを表明しました。


吉江豊。この男も新日本を去る。

その動きの中で、新日本プロレスは1月のシリーズに
曙とジャイアント・バーナードが参戦することを発表しました。


曙が新時代を作る!?

新日本プロレスで長年戦い続けていたレスラーが去るのは、正直、辛いものです。
プロレス界の右も左もわからなかった新人時代。
私のピントのずれた質問に丁寧に応じてくれたレスラーがいました。
大事な試合の前に、緊張でガチガチになっていた私に、
わざと笑顔で接してくれたレスラーもいました。
言葉ではなく、リングの上で闘うことで「語る」レスラーもいました。
11名の新日本を去るレスラー、一人一人に個人的な「想い」があります。
個人的な感情は寂しいの一言に尽きます。
ただ、客観的にこの一連の動きを見ると一つの流れが見えてきます。

所属レスラーの数を極力少なくすることで、経費を削り、
捻出したファイトマネーで、外国人選手や、フリーのレスラーを雇う。
所属レスラーには競争と緊張感が生まれ、
「客が呼べないレスラー、華がないレスラーは契約しない。」
という暗黙の了解が生まれる。
外国人選手やフリーの選手を起用することでリングの上では、
新鮮なマッチメイクが可能になり、団体、プロレス界は活性化していく。
フロントが考える理想の経営とは、このような好循環だと思います。

この経営手法は、世界最大のプロレス団体、「WWE」の手法であり、
まさに、経営の「世界標準」。
サイモン猪木社長率いる「新日本プロレス」は大きく、変貌を遂げようとしています。
その過渡期にあって、「生みの苦しみ」「血を伴う改革」が必要であることは
残念ながら避けることができない事実なのかもしれません。

だからこそ、私は今の新日本プロレスの現状を
極力、冷静に捉えることにしました。

お世話になったレスラーが去りゆく時、
その「顔」を思い浮かべ、感傷に浸るのは今は止めておきます。
今はただ、新日本プロレスを退団したレスラーが「新日本プロレス」に請い請われて、再びセルリアンブルーのリング上に戻ってくることを祈るのみです。
 
 
    
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