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2月3日   ワールドプロレスリング実況三銃士の闘魂コラム#62
〜プロレスラー・曙〜

2006年1月4日、闘魂に魅了された人々が東京ドームに集まりました。
第一試合から、死闘が繰り広げられ、語るには語りつくせないほどのドラマがありました。
今回は曙に焦点をあててコラムを書きます。


2005年の大晦日。
曙対ボビー・オロゴン、判定の末、ボビーの勝利。
「第64代横綱」曙は総合ルールで
「最強の素人」ボビー・オロゴンに不覚を取りました。
曙は大晦日、テレビの前で屈辱にまみれ、人々は口々に曙を罵りました。
日本の国技、大相撲において「横綱」という最高位につき、
頂点を極めた男を嘲笑と非難の嵐が襲ったのです。

若・貴兄弟と凌ぎを削り、空前の相撲ブームの中で、
常に「悪役」として存在しつづけた曙は
総合格闘技のリングでもやはり「悪役」でした。
お茶の間のヒーロー、ボビー・オロゴンとの対戦は、
より曙を悪役にさせ、誇り高き「横綱」を追い込んで行きました。

皆さんは想像したでしょうか?
2006年1月1日を曙がどのような気持ちで迎えたか。
肉体的にも精神的にもボロボロになった男が考えることは何か。
普通の人間ならば、逃げるはずです。
目の前の受け入れがたい現実から目を逸らし、
己の保身を図り、言い訳を考えます。

しかし、曙は逃げませんでした。
ボロボロになった肉体に鞭を打ち、逃げ出しそうな心に活を入れ、
1月4日、闘いのリングに戻ってきました。

「笑いたかったら笑えばいい。」
「馬鹿にしたかったら馬鹿にすればいい。」
「いつか、絶対に、絶対に見返してやる!!」

堪えがたきを堪え、手負いの「横綱」は
初めて新日本プロレスのリングで闘い抜きました。
プロレスラー・曙は尊敬に値する人間だと、心の底から思いました。

 
 
    
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