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12月19日   ワールドプロレスリング実況三銃士の闘魂コラム#57
〜プロレスと箱〜


1・4東京ドームに向けての二本立て!!中村昭治アナウンサーのコラムはこちら


新日本プロレスは2006年1月4日の東京ドーム興行を最後に、
ドーム興行からの撤退を表明しました。

ドーム興行からの撤退には賛否両論があります。
その議論の中で、核となるのは「プロレスと箱」の問題です。
新日本プロレスはもとより、プロレスファンを含め、
我々テレビ局も真剣に考える「プロレスと箱」。
噛み砕くと、
果たしてプロレスに最も適した空間とは如何なる空間なのか?
という命題になります。

基本的に「プロレスの箱」には3つのタイプがあります。

(1)後楽園ホールタイプ(観客数約2000人)
・選手の息づかいまでが観客に届く。
・場外乱闘を含め、レスラーと観客の体感温度が近い。

(2)国技館・武道館タイプ(観客数約1万2000人)
・場内が一つになった時の一体感はとてつもないエネルギーとなる。
・レスラーの闘いと観客の応援が相乗効果になりやすい。
・場外乱闘等も観客席から、直接見ることができる。

(3)東京ドーム(観客数約4万以上)
・ほとんどの観客は巨大モニターで試合を観戦する。
・場外乱闘等がわかりにくい。
・会場が大きいため、一体感が生まれにくい。

こうして私なりに3つのタイプを考えていくと、
プロレスにはドームは適していないのではないか?という結論が出てきます。

だが、ドームにはドームにしかない特有の空気があります。
それは祭りの時の高揚感、期待感に似ており、1.4に限って言うならば、
プロレス界の元日となるのです。

私なりに「プロレスと箱」を考えると、
プロレスに最も適した空間とは、国技館・武道館タイプになると思っていました。
事実、プロレスが毎週ゴールデンで放送されていた時には、
「ドーム」は存在していませんでした。
レスラーの闘魂と、熱に絆された観客が織り成す、
闘いのワンダーランドに「ドーム」は適していない、
かっての私はそのように考えていました。
しかし、ある興行のDVDを見て、その概念は吹き飛ばされました。
東京ドーム「新日本 vs UWF」の団体対抗戦。
そこには、
「レスラーと観客が織り成す、闘いのワンダーランド」が確かに存在しました。
「ドームでもこのような興行が成立していたのか!!」

私は一つの確信を得ました。

プロレスに「ドーム」が適していないのではなく、
今の新日本プロレスの闘いに「ドーム」が適していないのだと。

「2006年1月4日」
私の確信が、今の新日本の闘いによって、吹き飛ばされることを期待している。

 
 
    
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