新日本プロレスは2006年1月4日の東京ドーム興行を最後に、
ドーム興行からの撤退を表明しました。
ドーム興行からの撤退には賛否両論があります。
その議論の中で、核となるのは「プロレスと箱」の問題です。
新日本プロレスはもとより、プロレスファンを含め、
我々テレビ局も真剣に考える「プロレスと箱」。
噛み砕くと、
果たしてプロレスに最も適した空間とは如何なる空間なのか?
という命題になります。
基本的に「プロレスの箱」には3つのタイプがあります。
(1)後楽園ホールタイプ(観客数約2000人)
・選手の息づかいまでが観客に届く。
・場外乱闘を含め、レスラーと観客の体感温度が近い。
(2)国技館・武道館タイプ(観客数約1万2000人)
・場内が一つになった時の一体感はとてつもないエネルギーとなる。
・レスラーの闘いと観客の応援が相乗効果になりやすい。
・場外乱闘等も観客席から、直接見ることができる。
(3)東京ドーム(観客数約4万以上)
・ほとんどの観客は巨大モニターで試合を観戦する。
・場外乱闘等がわかりにくい。
・会場が大きいため、一体感が生まれにくい。
こうして私なりに3つのタイプを考えていくと、
プロレスにはドームは適していないのではないか?という結論が出てきます。
だが、ドームにはドームにしかない特有の空気があります。
それは祭りの時の高揚感、期待感に似ており、1.4に限って言うならば、
プロレス界の元日となるのです。
私なりに「プロレスと箱」を考えると、
プロレスに最も適した空間とは、国技館・武道館タイプになると思っていました。
事実、プロレスが毎週ゴールデンで放送されていた時には、
「ドーム」は存在していませんでした。
レスラーの闘魂と、熱に絆された観客が織り成す、
闘いのワンダーランドに「ドーム」は適していない、
かっての私はそのように考えていました。
しかし、ある興行のDVDを見て、その概念は吹き飛ばされました。
東京ドーム「新日本 vs UWF」の団体対抗戦。
そこには、
「レスラーと観客が織り成す、闘いのワンダーランド」が確かに存在しました。
「ドームでもこのような興行が成立していたのか!!」
私は一つの確信を得ました。
プロレスに「ドーム」が適していないのではなく、
今の新日本プロレスの闘いに「ドーム」が適していないのだと。
「2006年1月4日」
私の確信が、今の新日本の闘いによって、吹き飛ばされることを期待している。 |