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10月7日 新日本プロレスを支える人びと


今回は少し視点を変えて、新日本プロレスを支える人達を考えてみました。

私が初めてプロレスを実況したのは2003年2月。
デビュー戦は「矢野通対真壁伸也」「西村修対カレーマン」の2試合。
ガチガチに緊張していた私を支えてくれた人こそ、解説の「木村健悟」さんでした。
実況中、過度の緊張から、トンでもない「振り」をしているのに、見事な「受身」で私の実況を支えてくれ、本当に助けて頂きました。
また、その当時、木村健悟さんはまだ現役で、レスラー生活を続けながら『ワールドプロレスリング』の解説をして頂いており、プロレス界の「イロハ」を懇切丁寧に教えて頂きました。
木村健悟さんは2003年4月に引退し、今は巡業の責任者として、各会場を取り仕切っています。そして、試合中には必ず、本部席に座り、試合を厳しい目で見ています。
そんな木村健悟さんがG1クライマックス期間中、このような話をしていました。

吉野「健悟さん、昨日の高山・佐々木戦、凄い試合でしたね。」
木村「凄かったね。俺も本部席で見ていて血がたぎってきたよ。」
吉野「昔の血が騒ぐんですね。」
木村「そりゃ、そうだよ。あんな試合見せられたら。ただ、哀しいよね。」
吉野「なんで哀しいんですか?」
木村「高山と健介は、二人とも外敵でしょ。新日本の選手同士であんな試合やってくれたら嬉しいんだけど、外敵同士だから、俺の立場から考えると複雑なんだよね。」
「昔はあれぐらいの試合を常にお客さんに見てもらっていたんだから。俺が昔の話をすると、昔と今は環境が違うとか言う奴もいるけど、基本的な闘いの芯は変わらないよ。」
吉野「闘いのシンですか。」
木村「そう、気持ちの奥底にある芯の部分。昔、新日本で闘っていた人間からすると、外敵にあんな芯のある試合を見せられたら正直、悔しいよ。」「プロレスの名勝負には必ず、闘いの芯があるんだよ。腕が折れようが、血が出ようが、絶対に目の前の奴に負けたくない。気持ちが強ければそれが芯になるんだよ。」
吉野「今の新日本のレスラーにはそれがないんですかね。」
木村「あるやつもいるけど、なかなか出てこない。だから、俺は口酸っぱく若手には言っているんだ。技は形ではなく、気持ちで決めるもんだって。」

この話をしている時、いつもは温和な木村健悟さんの表情が、「レスラーの顔」になっていました。
東京に戻ってから、自宅で昔のプロレスのビデオを見返してみると確かに、木村健悟さんの言葉どおり、リング上には常に「闘いの芯」があるように思えました。
新日本プロレスに「闘いの芯」を伝承していく「健悟さん」、私の大好きな人です。

 
 
    
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