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身長
177cm
出身地
埼玉県さいたま市
出身校
県立浦和高校→
早稲田大学
入社年月日
1992年4月1日
星座
天秤座

2015/7/23  ニュースは現場で起きている! ①とにかく現場に駆けつける!

早いものでアナウンサーになって24年目になりました。この間、報道情報系の仕事に携わり、様々な現場取材を経験してきました。
スーパーモーニングでは、阪神淡路大震災やオウム真理教事件の現場を経験し、お昼のN天ワイドという番組では、心臓移植を受けた少女の取材や沖縄の基地問題の取材も行いました。
スーパーJチャンネルでは事件事故や災害の現場リポートを担当。そして報道ステーションのリポートも担当して早10年目を迎えています。


ネパール大地震の被災地にて

本当に様々な現場を経験してきましたが、気がついたら私も、もう40代後半です。アナウンス部でのホワイトボードの名札もだいぶ上の方になってしまいました。
私自身は体力の続く限り現場に立ち続けたいと思っていますが、50代という重い響きが近づいてくる中、いつまでこうした現場取材を続けられるかわかりません。

そこで、特にアナウンサーやリポーターの仕事を志している若い方々に読んでいただければと思い、このホームページ上で、これまでの現場で私自身が経験し勉強になったことを少しずつ記していくことにしました。

まず1回目は、現場に向かうことの大切さについてです。

ニュースは現場で起きています。これは間違いありません。どんなに本や記事を読んで勉強しても、現場にあるものを見て当事者に話を聞いて直接得た一次情報には勝てないと私は思っています。だから、現場に行くのです。

昔駆け出しの頃、会社にいるときに、ある事件が起きました。第一報しか入ってきていない中、この事件を任された当時の私は、事件について少しでも情報を得ようと、通信社から送られてくるメモや速報の情報をかき集めるのに四苦八苦していました。
その時、ある上司が私に怒鳴りました。
「メモなんて後で集めればいい。とにかく早く現場に行け!」
その上司の指示は明確でした。
私は資料も集まらない中、慌てて車に飛び乗りました。

その事件の現場までは車で1時間ほど。
当時はスマートフォンなどの便利な端末機器はなく、大型の携帯電話が車についているだけでした。でも、その車載電話で内勤のディレクターから情報をもらい、現場に着く前には事件の概要を把握し、ポイントをまとめた取材メモを作ることが出来ました。

そして現場に着いてみると、まだ警察の規制線も十分には張られておらず、他社も新聞記者が数人いるだけでテレビクルーは我々だけだったのです。私は現場に一番近い場所でリポートを撮り、関係者の重要な証言を聞くことが出来ました。
もし30分でも出発が遅れていれば、規制線が厳しくなり現場が見えない位置からしかリポートが出来ず、証言者も各社に囲まれて話してくれなかったかもしれません。

つい先日もこんなことがありました。
台風11号の取材で高知県の室戸岬にいた時のことです。
台風中継に備えて、宿泊先にしたホテルのロビーで忙しく準備していた時でした。
ホテルのご主人が地域の方からまわってきた情報として、「この先、車で10分ほどの海岸沿いの国道に大波が押し寄せている。海から岩や木が打ち上げられていて道路が封鎖されている」という話を教えてくれました。
番組冒頭に予定されている中継の準備を考えると、残された時間はわずかしかありません。しかし、行かない手はありません。中継の準備は一旦中断して、暴風雨の中、車で現場を目指しました。

現場に駆けつけてみると、警察や地元の消防も到着し国道が封鎖されていました。近くでは巨大な波が道路上にまで押し寄せ、大きな岩や木が海から打ち上げられていました。
私はすぐにリポートを撮り、中継現場にとって返し、この国道封鎖の情報も交えて生中継を行いました。

この地元の方からもたらされた「大波で岩が打ち上げられ国道が封鎖されている」という話こそが、まだどこにも出されていない一次情報でした。
それは、現場にいたからこそ、掴むことができたのです。


打ち上げられた岩。翌朝撮影。

 

ニュースは現場で起きています。現場には様々な情報が埋まっています。まず大切なことは、一刻も早く現場に駆けつける。そして現場に埋まっている情報を少しでも早く少しでも深く掘り起こすことなのです。

駆け出しの頃の上司は今は引退していて会社にはいません。あの時私に「とにかく現場に行け」と叫んだことは忘れているかもしれません。でも、私はあの時の言葉にとても感謝しています。
とにかく現場に駆けつける。
私は今も実践しています。

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