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10月1日 もしも竜馬が生きていたら…

 
アメリカの同時多発テロ事件、世界貿易センターに突っ込む旅客機の衝撃的な映像がいまだに脳裏から離れない方も多いと思います。あまりにひどい事件、これは本当に残念で、歴史に残る出来事だと思います。
ところで、この事件に対する世界の反応、ものすごく早かったですよね。ブレア首相をはじめ各国の首脳がテレビに映り、テロ非難を訴えました。当然のことです。
それに比べてわが国は、事件直後の対応で、小泉さんをもってしても、遅れをとりました。その後は、自衛隊の派遣を表明するなど、この国のメッセージを何とか形として打ち出しましたが、自衛隊派遣をめぐって世論は大きく割れています。
この歴史的な有事に、この国は、政治家も、そしてわれわれ国民も、はっきりした答えを出せずに右往左往している状態です。

一体、この国は、この十年、何をやってきたのでしょう・・・
失われた十年、バブル崩壊後のニッポン経済を指して良くこの言葉が使われますが、これは経済の問題だけではなかったのです。
10年前の湾岸戦争でニッポンは金だけ出して、汗を流さないと、世界中から揶揄されました。その反省は、どこへ行ってしまったのでしょうか。
もちろん、この間、PKO協力法や、周辺事態法が作られましたが、これらは、今回の事態にはすぐに対応できません(9月24日現在)。
しかし、世界情勢を見ていれば、フセイン政権は依然として生き延びていたわけで、仮に今回のテロが起きなくても、中東で紛争が続いている中、新たな危機が勃発し、いつ邦人が危険にさらされてもおかしくなかったのです。

反省だけならサルでも出来るといいますが、サルを馬鹿にしていられない状況です。
この国の特性として、何か大きなことが起きたとき、そのときだけは大騒ぎをしますが、すぐに忘れてします。そのときの反省を次につなげられないのです。
マスコミも、政治家も、そしてそうした政治家を生み出している国民も・・・。

有事のあった後、その時どう対応したのか、何が問題だったのかをしっかり検証し、どうすればよかったのか、具体的に対応策を考え、形にし、だめなシステムを変えていくことが何よりも大切です。それが、失敗を繰り返さないということではないでしょうか。

では、なぜ、それが出来ないのか。戦後50年の日本人の生き方が問われている気がしてなりません。冷戦構造に守られ右肩上がりできた90年までは、みんなが物質的な幸せに満足してきました。しかし、その影で、人間としての志、正義感、優しさを削ってきたのではないでしょうか。

企業では、年功序列の日本的経営システムの中で、上司に忠実で、言われたことだけをしっかりこなす人が尊ばれました。上司にごますりばかりして出世した人も多く居たはずです。

政治家は、自分の利権だけを考え、選挙区や支持基盤だけへの見返りを訴え当選してきました。そこでは、天下国家が論じられることはありませんでした。

家庭では、子供たちが将来何を目指すのか、その夢を膨らませるよりも、親たちは、子供たちに、いい高校・大学に入って、一流企業に入りなさいというつまらない論理を押し付けてきました。

そうした中で、危機意識もなく、まさに井の中の蛙としてぬくぬくと育ってきた私たちが、冷戦構造が崩れた90年以降、バブル崩壊や、新たな枠組みでの紛争・テロの発生という予期せぬ出来事に対応できず、あたふたしているのが現状なのではないでしょうか。

もし坂本竜馬が今の時代に生きていればどう行動しただろう・・・そんなことを時々考えます。いまこそ、既存の概念にとらわれず、海のように広い心をもち、山のように高い志を持って行動していく政治家が、この国に現れることを願ってやみません。

今回のテロは憎むべき行為であり決して許されるものではありませんが、その背景を突き詰めて考えていくと、そこにはアメリカを中心としたグローバリズムの影響があることは否定できません。またパレスチナ問題を解決することがなければ、この手のテロはなくならないでしょう。報復には報復が付きまといます。まさに、目には目を・・・になってしまいます。

日本は、平和憲法に縛られ様々な制約がありますが、世界で2番目の経済大国であり、またG7の中で唯一のアジアの国というアドバンテージも持っています。
テロに対して毅然とした態度で臨むのは当然のことですが、その上で、日本には、他の国には出来ない独自の道があるはずです。

私は小泉改革を応援しています。
小泉さんには、アメリカの言われるままに後追いで行動するのではなく、この国の立場を逆に利用して、今回の事態にも、大いに変人として、その変人ぶりが世界から感心されるぐらいに立ち振る舞ってほしいものだと思わずにはいられません。

   
 
 
    
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