運命の最終ラウンド。30mの36射に入りました。
1位と2位は事実上、逆転不可能な位置にいるので3位狙いしかありません。
(もちろん選手は競技中にそんな考えは一切持たず、自分との戦いです。)
そして…風が止みました。
【第1エンド】 山本の結果は6射59点でトップ! 総合4位タイに躍り出ます
。
【第2エンド】 山本は6射58点。この結果、大変な事になってきました
。
☆30m第2エンド終了時の結果
3位タイ 天野 1060点 (近畿大学4年)
3位タイ 坂野 1060点 (愛知産大三河高3年)
5位タイ 山本 1059点 (日体大教員)
5位タイ 脇野 1059点 (自衛隊体育学校)
5位タイに下がりはしましたが、1点差になんと4人が並び
遂に3位と1点差に追いついたのです!あと1点追いつけば北京が見える…
しかし、ここからがアーチェリーという競技の奥深さでした。
【第3エンド】 信じられない大事件が起きました
。
初日2位、ここまでも3位タイと大健闘していた高校3年生の坂野が
規定時間の2分以内に3射を撃てず、合計5射49点しか取れず脱落したのです
同じく3位タイだった大学4年生の天野は57点と一歩後退。
一方の山本は59点と抜群の集中力を見せ、遂に逆転3位かと思われたのですが、自衛隊の脇野が第2エンドに続き、この第3エンドでもパーフェクトの60点を出し
、3位争いのトップに立ったのです。
全く息が抜けません。
☆30m第3エンド終了時の結果
3位 脇野 1119点
4位 山本 1118点
5位 天野 1117点
6位 坂野 1109点
【第4エンド】 山本は6射58点
。
決して悪くは無いのですが、好調自衛隊の脇野は59点、その差が2点に開きます。
そして5位の大学4年生天野も59点を出し、山本に追いついたのです!
☆30m第4エンド終了時の結果
3位 脇野 1178点
4位タイ 山本 1176点
4位タイ 天野 1176点
【第5エンド】 またアクシデントが起きました!
パーフェクト2回と絶好調の自衛隊脇野が大きく崩れ6射で53点と一気に脱落です。
本当にアーチェリーは恐ろしい…。
山本は58点。しかし3位争いのトップに立ったのは59点を出した天野でした。
☆30m第5エンド終了時の結果
3位 天野 1235点 (近畿大学4年)
4位 山本 1234点 (日体大教員)
5位 脇野 1231点 (自衛隊体育学校)
【第6エンド】 遂にやってきた最終第6エンド。この6射ですべてが決まります
。
ここまで驚異の追い上げを見せている山本ですが
一度も3位争いのトップに立つことなく、1点差で最終エンドを迎えました。
時間内であれば撃つタイミングは自分で自由に決められます。
山本は比較的早めに先行して撃っていきます。
最初の3射が終わりました。
山本は10点、9点、9点の28点。
天野は10点、10点、9点の29点。
なんということでしょう、土壇場でさらに1差広げられ
その差が2点となってしまったのです。
そして運命のラスト3射。
山本は10点、9点、10点の29点で静かに撃ち終えました。
天野はゆっくりと撃っていきます。
10点、9点…最後の1射が残りました。
8点なら同点ですので過去の実績を考慮で山本です。
9点以上なら天野に決定。大学4年生の彼にとっても五輪は人生初です。
そして運命の1射…
私も双眼鏡で凝視していたターゲットのど真ん中に矢が刺さりました。
10点!
「やった〜っ!!」
静かな競技場に彼の絶叫が響き渡り、
緊張から解き放たれた大学4年生天野が歓喜で崩れ落ちました。
それは四半世紀前の山本自身の姿でもありました。
☆第44回世界ターゲット選手権大会最終選考男子決勝
1位 古川 1311点 (世界選手権大会出場)
2位 守屋 1302点 (世界選手権大会出場)
3位 天野 1293点 (世界選手権大会出場)
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4位 山本 1291点 (補欠)
5位 脇野 1289点
6位 坂野 1283点
最終結果が出揃いました。
144射の文字通り最後の1射までもつれた勝負は
合計1000点以上の争いで、わずか2点差で裁きが下ったのです。
山本の周りに10台以上のテレビカメラが集まり、取材が始まりました。
記者もなんと声をかけていいかと、重い空気が流れます。 |