事件が起きると真っ先に飛び出し,取材をしてリポートをするアナウンサー達。
テレビでは伝えられない事件の裏側や取材中にふと感じた様々な思いをこのコラムで綴ります。
第1回はワイドスクランブル(11:30〜13:05月〜金)で事件リポーターとして活躍している小木逸平アナウンサーです。
道端に花束が置かれているとドキッとする。事件現場で何度この「花束」を見たことか。大都会の雑踏にひっそりと手向けられているものもある。駐輪場の奥にある事も。アパートのドアの前にも。事件現場に供えられた花束は、怒り、悲しみ、戸惑い様々な「何か」を語りかけてくるような気がする。
6月7日に訪れた「現場」に供えられた花束は、人里はなれた山林にあった。さびしげに奏でられる虫の音がレクイエムのように聞こえてくる。
栃木県栗山村。今年の3月12日、ここで18歳の少女は雪の上で凍死していた。首に圧迫された痕が見つかる。不自然な死。6月7日はその女子高生を殺害した容疑で交際相手の男性が逮捕された日である。
栗山村まで東京から車で3時間。いつも通りではあるが、この日も長旅である。車の中で資料を読んだり、まどろんだり、コンビニで買ったおにぎりを頬張りながら、現場についたのは午後5時。
次の日にこの事件で中継するとのことで、取材を終えてもボクだけは残る事に。
泊まったのは鬼怒川温泉のとあるホテル。温泉がある!
・・・思わずニヤリ。
ところが夕食の予約はしていなかったので、夕食なのにホテルの「夜食」を食べる。冷やし山菜うどん一杯。
ああ、この日はおにぎりとうどんだけか・・・
連日現場で取材を続ける「夜討ち朝駆け」系のアナウンサー達。
その食生活は押して知るべし。こりゃヒドイものである。それなのに動きつづける。
原動力となるのは一体何であろうか。現場で受けたショックであろうか。
う〜ん、私の場合は・・あの「花束」・・かもしれない。
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