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著しい経済発展を続ける国『ベトナム』がすでに世界一!
なのは、国民一人当たりのバイクの所有台数です。
人口約8600万人に対して、ベトナム国内のバイク台数は、
昨年末の推定で2500万台!
つまり、赤ちゃんからお年寄りまでを含めて、国民4人の1人以上が
バイクに乗っている計算です。
同じアジアの台湾でも、朝夕の通勤ラッシュともなると、
バイクが道一杯に溢れかえるという光景は見たことがありますが、
ベトナムのそれは、正直レベルが違いました。
朝となく昼となく夜となく、道という道をバイクが占領しているのです。 |

午後2時過ぎ。つねにバイクの大洪水。 |
未だ毎年200万台ずつ増え続けているバイク王国の礎は
1985年、ベトナムに入ってきたある輸入バイクが作りました。
そう、それは日本が世界に誇る名車「スーパーカブ」だったんです。
1997年12月に他メーカーに先駆け現地生産を始めたHONDAは
今や圧倒的な人気とシェアを誇っていて、
アメリカでクリネックスと言えばテッシュを指すように、
ベトナムではHONDAと言えばバイクの代名詞なんです。
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現地限定車種「スーパードリーム」
50cc~125ccが売れ筋 一番人気は赤色
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消費者が選ぶ高品質国産製品で
毎年1位を獲得
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ただし、HONDAは新車で15万前後します。
(日本とあまり変わらない!)
ベトナム全土の平均年収は12万程度、
最大都市、ホーチミンでも20万前後と言われていますので、
ほとんどの人にとってはまさに高根の花。
ですから、3万円程度の中国製バイクをHONDA風に改造した
ものも多いんだそう。 |

HONDAに見えますが、本物は少ない… |
ホーチミンから地方に行く幹線道路沿いには数百メートルごとに、 『HONDA』の看板があるのですが、これはバイクの修理工場の合図。
地方からホーチミンに出てきた人は、こうした工場で半年ほど修行して
独立するのが一つの目標なのだそうです。
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写真左のHONDAの看板が修理工場の印。
もちろんHONDA以外のバイクも何でもOK |

ポリ容器に入っている赤い液体は赤米で作った焼酎。
アルコール度数45度以上のお酒を堂々と売っています。
飲酒運転が半ば認められているということですね。 |
世界一といえば、
ベトナムの交通マナーの悪さも間違いなく世界一です。
マナーが悪いというよりも、交通ルール自体が確立していないんです。
そもそも70cc未満は免許すら必要のないベトナム。
急な割り込み、進路変更、突然のUターン、まさかの逆走。
つねに鳴り響いていて、意味をなしていない警笛。
これ全て日常の光景です。
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バイクは好き勝手に交差点に進入。
良く見るとバイク同士が衝突寸前!
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トラックの横、
平然と広い道路を渡る歩行者
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そもそも「歩行者優先」という世界的なルールは
ここでは全く当てはまりません。
まず、あれだけの交通量なのに、信号がきちんと整備されておらず、
横断歩道もほとんどないので、道を渡るには決死の覚悟が必要です。
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数少ない歩行者用信号
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なんと日本の信号を発見!
信号の種類が場所によって
違うなんていうのは普通なんだそう。
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歩道はあちこちで未だ整備中。道を歩かざるを得ません。
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当然ですが、現地の方は慣れたもので、バイクが来ようと車が来ようと
お構いなしで堂々と渡ります。
現地の方によると、焦って走ったり、
怖いからと急に止まるのが一番危ないとのこと。
私も勇気を振り絞ってとにかく歩き出すと、
バイクも車もぎりぎりでちゃんと避けてくれました。
(でも本当に怖いですよ。車列に飛び込む感覚なんですから。)
お互いの存在を意識しての往来。言わば「あうんの呼吸」です。
性善説に基づいたこういう交通ルールもあるのかと妙に納得しました。
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渡るよ!というオーラを出して歩けば問題なし。
2日目には少し慣れました。
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ただし、バイクの増加に伴い、
交通事故も加速度的に増え続けているそうで、
死者数は毎日30~40人!人口は日本の2/3なのに、
年間の死者数は3倍近く!異常な数字です。 |

日差し除けのサングラスに
スモッグ対策のマスクを着用するのが
ベトナムスタイル。
これで日本のコンビニに入れば間違いなく通報モノ。
よく見ると子供を抱いています(驚)
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歩道走行もごく日常。
道路近辺に安全地帯無し。
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物価からすればバイク本体も、月間の維持費4000円(月収の1/4程度)も
異常に高く、しかも危険が一杯。
それでもベトナムの人にとってバイクが絶対に欠かせないのは
単なる移動の手段としてだけではなく、
産業を支える足でもあるからなんです。 |

バナナ運搬中。箱を微妙にずらしてバランスをとっています。
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トラック代わりとしても活躍するバイク。
一番驚いたのは、縦2M横1Mぐらいのガラス板!を後部座席に座った男性が
両手で押さえながら運んでいたシーン。
もし落としたら?なんて発想は鼻からないんでしょうね。 |

とにかく積めるだけ積む。
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名物のバイクタクシー。
車の間をすり抜けていく姿を見ると
怖くて乗れません。
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市場でCM撮影に遭遇。ここでも登場するのはバイクです
(これはYAMAHAですね)
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車はバイクの1/20以下の
台数しかありません。
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バイクはHONDA
車はTOYOTAが庶民の夢
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これじゃ交通事故が減るわけありません…
こうした事態に政府も2007年12月からヘルメット着用を
義務付けましたが、バイクは「皆免許制」が先なのでは?
今年はACEAN(東南アジア諸国連合)の議長国も務めるのですから、
最低限の交通ルールの確立は喫緊の課題でしょうね。
それにしても、まるで洪水のようなバイクの隊列は昇竜・ベトナム経済を
象徴しているかの様でした。 |

自転車タクシー『シクロ』巨人の帽子は何ゆえ?
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次回はAmazing「ベトナム」~日本の再来編~をお伝えします! |