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2月10日 Amazing「ベトナム」 〜HONDA編〜


著しい経済発展を続ける国『ベトナム』がすでに世界一!
なのは、国民一人当たりのバイクの所有台数です。
人口約8600万人に対して、ベトナム国内のバイク台数は、
昨年末の推定で2500万台!
つまり、赤ちゃんからお年寄りまでを含めて、国民4人の1人以上が
バイクに乗っている計算です。
同じアジアの台湾でも、朝夕の通勤ラッシュともなると、
バイクが道一杯に溢れかえるという光景は見たことがありますが、
ベトナムのそれは、正直レベルが違いました。
朝となく昼となく夜となく、道という道をバイクが占領しているのです。


午後2時過ぎ。つねにバイクの大洪水。

未だ毎年200万台ずつ増え続けているバイク王国の礎は
1985年、ベトナムに入ってきたある輸入バイクが作りました。
そう、それは日本が世界に誇る名車「スーパーカブ」だったんです。

1997年12月に他メーカーに先駆け現地生産を始めたHONDA
今や圧倒的な人気とシェアを誇っていて、
アメリカでクリネックスと言えばテッシュを指すように、
ベトナムではHONDAと言えばバイクの代名詞なんです。


現地限定車種「スーパードリーム」
50cc〜125ccが売れ筋 一番人気は赤色

消費者が選ぶ高品質国産製品で
毎年1位を獲得

ただし、HONDAは新車で15万前後します。
(日本とあまり変わらない!)
ベトナム全土の平均年収は12万程度、
最大都市、ホーチミンでも20万前後と言われていますので、
ほとんどの人にとってはまさに高根の花。
ですから、3万円程度の中国製バイクをHONDA風に改造した
ものも多いんだそう。


HONDAに見えますが、本物は少ない…

ホーチミンから地方に行く幹線道路沿いには数百メートルごとに、
『HONDA』の看板があるのですが、これはバイクの修理工場の合図。
地方からホーチミンに出てきた人は、こうした工場で半年ほど修行して
独立するのが一つの目標なのだそうです。


写真左のHONDAの看板が修理工場の印。
もちろんHONDA以外のバイクも何でもOK


ポリ容器に入っている赤い液体は赤米で作った焼酎。
アルコール度数45度以上のお酒を堂々と売っています。
飲酒運転が半ば認められているということですね。

世界一といえば、
ベトナムの交通マナーの悪さも間違いなく世界一です。
マナーが悪いというよりも、交通ルール自体が確立していないんです。
そもそも70cc未満は免許すら必要のないベトナム。
急な割り込み、進路変更、突然のUターン、まさかの逆走。
つねに鳴り響いていて、意味をなしていない警笛。
これ全て日常の光景です。


バイクは好き勝手に交差点に進入。
良く見るとバイク同士が衝突寸前!

トラックの横、
平然と広い道路を渡る歩行者

そもそも「歩行者優先」という世界的なルールは
ここでは全く当てはまりません。
まず、あれだけの交通量なのに、信号がきちんと整備されておらず、
横断歩道もほとんどないので、道を渡るには決死の覚悟が必要です。


数少ない歩行者用信号

なんと日本の信号を発見!
信号の種類が場所によって
違うなんていうのは普通なんだそう。


歩道はあちこちで未だ整備中。道を歩かざるを得ません。

当然ですが、現地の方は慣れたもので、バイクが来ようと車が来ようと
お構いなしで堂々と渡ります。

現地の方によると、焦って走ったり、
怖いからと急に止まるのが一番危ないとのこと。
私も勇気を振り絞ってとにかく歩き出すと、
バイクも車もぎりぎりでちゃんと避けてくれました。
(でも本当に怖いですよ。車列に飛び込む感覚なんですから。)

お互いの存在を意識しての往来。言わば「あうんの呼吸」です。
性善説に基づいたこういう交通ルールもあるのかと妙に納得しました。


渡るよ!というオーラを出して歩けば問題なし。
2日目には少し慣れました。

ただし、バイクの増加に伴い、
交通事故も加速度的に増え続けているそうで、
死者数は毎日30〜40人!人口は日本の2/3なのに、
年間の死者数は3倍近く!異常な数字です。


日差し除けのサングラスに
スモッグ対策のマスクを着用するのが
ベトナムスタイル。
これで日本のコンビニに入れば間違いなく通報モノ。
よく見ると子供を抱いています(驚)

歩道走行もごく日常。
道路近辺に安全地帯無し。

物価からすればバイク本体も、月間の維持費4000円(月収の1/4程度)も
異常に高く、しかも危険が一杯。
それでもベトナムの人にとってバイクが絶対に欠かせないのは
単なる移動の手段としてだけではなく、
産業を支える足でもあるからなんです。


バナナ運搬中。箱を微妙にずらしてバランスをとっています。

トラック代わりとしても活躍するバイク。
一番驚いたのは、縦2M横1Mぐらいのガラス板!を後部座席に座った男性が
両手で押さえながら運んでいたシーン。
もし落としたら?なんて発想は鼻からないんでしょうね。


とにかく積めるだけ積む。

名物のバイクタクシー。
車の間をすり抜けていく姿を見ると
怖くて乗れません。


市場でCM撮影に遭遇。ここでも登場するのはバイクです
(これはYAMAHAですね)


車はバイクの1/20以下の
台数しかありません。

バイクはHONDA 
車はTOYOTAが庶民の夢

これじゃ交通事故が減るわけありません…
こうした事態に政府も2007年12月からヘルメット着用を
義務付けましたが、バイクは「皆免許制」が先なのでは?
今年はACEAN(東南アジア諸国連合)の議長国も務めるのですから、
最低限の交通ルールの確立は喫緊の課題でしょうね。

それにしても、まるで洪水のようなバイクの隊列は昇竜・ベトナム経済を
象徴しているかの様でした。


自転車タクシー『シクロ』巨人の帽子は何ゆえ?

次回はAmazing「ベトナム」〜日本の再来編〜をお伝えします!
   
 
    
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