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4月11日   ワールドプロレスリング実況三銃士の闘魂コラム#138
〜ジェラシー〜

誰もが感じたことがある、とあえて断言する。
この「ジェラシー」という感情。
ジェラシー「嫉妬(しっと)」とはある辞書によると
「自分よりすぐれている者に対してうらやみ、ねたむこと」とある。

つまり「嫉妬する」という感情は既に「相手の方がすぐれている」ことを
認めた上での感情なのだと今回初めて知った。


プロレスの歴史における有名なジェラシーは
まずジャイアント馬場に対するアントニオ猪木のジェラシー
実際に目にしたわけではないので
見聞きしたもので判断すると、猪木は馬場に対して
相当の劣等感を感じていたと言える。
それが日本プロレスを飛び出し、ストロングスタイルの原点を
作った猪木のハングリー精神につながっている。

次に思い出されるのが
藤波辰巳(現在は辰爾)に対しての長州力のジェラシー。
これはかの有名な「噛ませ犬」発言があったので
覚えている方も後から聞いて知った方も多いと思う。
藤波の自分より上の扱われ方に納得のいかない長州が発した
「藤波!俺はお前の噛ませ犬じゃないぞ!」
という言葉。
いまだに「革命戦士」といわれる長州力がこの瞬間産まれた。
そしてプロレスファンと「嫉妬」したことがある全ての人間を
長州は味方につけたのだ。

現在のプロレス界のジェラシーを棚橋弘至に見ることができる。
自分より後輩、年下、キャリアも少ない中邑真輔。
しかし中邑がチャンピオン。
メインイベンターは中邑。


棚橋はジェラシーを隠さない。
「お前だけには絶対に負けたくねえんだよ」
そんな棚橋をファンが後押しした。
後楽園ホールのIWGP戦。
王者:中邑  挑戦者:棚橋
声援は棚橋の方がやや大きかったか。
かくいう私もジェラシーにまみれたことがある。
いや、現在形で「嫉妬」という感情に心奪われる。
そんな私の中で嫉妬の感情をあけっぴろげに吐露する
棚橋は輝いて見えた。

嫉妬するのも悪くない。
嫉妬する人間は自分の未熟さを認めることから始まる。
その上で努力をする。技を磨く。相手のよきところを研究し追い越そうとする。

追い越せるかどうかは分からない。
越せなくてもっと悔しい思いをするかもしれない。
現実はそんなに甘くない。逃げる方が簡単かもしれない。
でも努力することを止めない。
そんな人間に自分もなりたい。




リングの上がまぶしく見えるのは
スポットライトのせい、だけではない。
   
 
    
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