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1月26日   ワールドプロレスリング実況三銃士の闘魂コラム#61
〜世界標準の効果〜

今年1・4東京ドーム大会で新日本の戦いが始まった。全11試合、新日本 VS インディーというのが大きなテーマ「では」あった。

しかしふたを開けてみればやはりドームの主役はレスナーだった。
史上最年少で世界No.1のプロレス団体WWEの統一王座に輝いた男
闘いを求めて上がった新日本のリングで
IWGP史上初の3WAY戦(3人が同時にひとつのリング上で闘う形式)を闘い、
当時の王者、藤田和之とG1覇者の蝶野正洋を倒してベルトを腰に巻いた男


「世界標準」「史上最強のレスリングマシン」と呼ばれる男が
去年の10・8に続いて今回も東京ドームの主役となったのだ。
アントニオ猪木の娘婿であるサイモン猪木社長はレスナーをエースに指名。
長州力現場監督も大会前から
「勝てなくたって何度でも向かっていけばいいんですよ、
それをファンは見たいんですよ」
と語っていたほどである。

その上層部に真っ向から反発していた挑戦者の中邑真輔だったが、
試合は中邑の攻撃をすべて「想定内」とばかりにはね返し、
レスナーが10分以内で勝利を決めてベルトを防衛した。

中邑ファンも反論できないほどの圧倒的な力の差、
いや、「格」の違いと言うべきか。
裏を返せばレスナーがそれだけ圧倒的に強いということだ。
そのレスナーの「強さ」が新日本にある効果をもたらしている。

観客動員の低迷が続き撤退もささやかれる東京ドーム大会が
息を吹き返し始めたのだ。去年5月が過去最低の3万5千人。
同じく去年10月がレスナーの新日本初登場で3万8千人。
そして今回は4万3千人と着実に観客動員が増えてきたのだ。
レスナーの圧倒的な強さを見たくて足を運んでいるのは間違いない。

客が増えれば選手はのる、のれば試合はおのずと盛り上がる。
それを見た観客は熱狂し、また足を運ぶ。
上昇気流のスパイラルに新日本を導いたのは他ならぬ
ブロック・レスナー「世界標準」の強さなのである。

試合後、敗れた中邑は「勝ち逃げは許さない」と語った。
中邑は力の差を埋める努力を重ねるだろう。
今回は勝てなかった。
じゃあ次回は?
今度の作戦は?
中邑にドラマが生まれる。
立ちはだかるレスナーにもドラマがある。

停滞していた新日本が、間違いなくレスナーを中心に廻り始めた。
廻り始めるともう止まらないのはこれまでの歴史が証明している。
2006年の新日本プロレスに大いに期待している。

   
 
    
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