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9月6日 ワールドプロレスリング実況三銃士の闘魂コラム#13
       「G1実況を終えて」


「ワールドプロレスリング・実況三銃士の闘魂コラム #13」

今年のG1は驚く事が多かった。

高山善廣が意識不明になり、死線をさまよったのもその一つである。
8月8日大阪。
佐々木健介との試合はかつて見たことがないほどに「壮絶」だった。
いや、「壮絶」で片付けられない試合だった。
肉体同士がすごい勢いでぶつかり合い、肉と骨がきしみ、つぶれる音を私はリングサイドで何度も聞いた。
試合後に控え室で高山は意識を失い救急車で運ばれるわけだが、それも当然と思えるほどの烈しさだったのだ。
佐々木健介のこん身のラリアットを高山は全部自分の首で受け止めた。
逆に佐々木は高山の足蹴りを全部顔で受け止めた・・・
お互いに頭を打ち、殴られ、蹴られ・・・


 

 

コールを受ける高山

 
 

 

一方、健介もこの表情

   

ど迫力の肉弾戦

あるレスラーが言っていたが、「相手の攻撃をよけたくない時」があるのだそうだ。
よけてしまえばダメージも受けず有利なのは百も承知なのだが、「こいつだけには絶対負けたくない」と思えばこそあえて相手の攻撃を受けるのだそうだ。
それでもなお立ち上がり、「どうだ、お前より俺の方が強いだろ」と示したいのである。
この試合がまさにそれだったようで、お互いに全身全霊でぶつかりあっていた。
その中で、本気でぶつかり合った者同士にのみ理解できる感情がある。
あの日試合が終わって両者は抱き合い健闘をたたえ合った。
勝った方も負けた方も試合後は晴れやかな顔をしていた。
ファンはそんな二人に惜しみない拍手を送った。

フィニッシュはエベレスト!

プロレスは喧嘩じゃない。ちゃんとルールがある。しかし男同士が闘って闘った者にしか共有できない感情が芽生えるのは喧嘩に似ている気もする。
その感情を見たいから、その感情を一緒に味わいたいからプロレスファンは会場に足を運ぶのかもしれない。烈しい試合に声援を送り足を踏み鳴らすのかもしれない。

立ち上がれない勝者

高山選手は初期治療が上手くいき既に95パーセントの回復を見せているという。
いつになるか分からないが2人の試合をもう一度見たい。

   
 
    
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