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「アルミ製門扉ばかりが盗まれている・・・」
という奇妙な被害が、相次いでいると聞き、現場へ向かう。
その被害は、東京都と埼玉県の都県境の、東村山、新座、清瀬、所沢と、広い範囲におよび、警察で去年から今年にかけて確認されただけでも、およそ400件に上るという。
静かな住宅街を入っていく。
確かに門扉がないところがある。門柱だけがさびしげに残っている。両開きになっていて、片側の門扉だけないところもある。
それよりも、街の景色が何だか違うことに気付く。
門扉をくさりやひもで門柱に縛り付けている家庭がやけに目立つ。
「こうでもしないと持っていかれる」
かつて門扉を盗まれ、同じサイズのものをさがしたが見つからず、7万円を出して、大阪から取り寄せたという女性(50代くらい)はいう。
「朝、新聞を取りに出たら、なくなっていた」らしく、深夜に盗むのが共通した手口だという。
実際に、門扉を外そうとしてみると、想像以上に軽い。そして、音がまったくしないことに驚く。慣れていれば、3秒もあれば外せる。
「こんなことでいいのか!?」
続いて、業者に聞く。
「アルミ製の門扉は、何より軽いこと、そして、取り外しが簡単であることが、最大のメリット」だという。
引越しなどで、タンス、ピアノ、冷蔵庫などを運ぶ際に、自分で簡単に外せるように、あえて単純なつくりにしているというのです。
そして、「残念ながら、盗まれることは想定していません」と言われてしまい、返す言葉がなくなってしまいました。
しかし、この言葉には、わけがありました。
盗まれた門扉は、どうなっているのか?
さらに、別の業者に聞く。
「中古としては、きわめて価値が低い」という。
たいていの門扉は、その門の幅や、高さなど、1つ1つサイズが違うため、中古品は、ほとんど流通していないというのです。
たとえば、ホームセンターなどでも、サンプルがおいてあるところは少なく、カタログを見て購入するのは、サイズがその家によって、バラバラだからなのです。
さらに、ほとんどは門扉と門柱がセットなので、門扉だけでは、さらに買い取ってもらうことが難しいとのことです。
では、盗んだ門扉は、どこへいくのか?
「よほど変わった門扉コレクターがいるか(ほとんど考えられない)、解体するなりスクラップするなりして、形を変えて、鉄くず工場へ持っていくのでしょう」という。
しかし、「アルミは安い」らしく、「門扉1つで、せいぜい数百円くらいにしかならない」というお話でした。
つまり、「盗んでもほとんど価値がない」から、「盗まれることを想定していない」というのです。
とはいうものの、盗まれた側にすれば、3万円くらいから、高いものでは、15万円もの被害になります。
そこで、盗まれないための対策です。
1つには、くさりなどで縛るという方法があります。
それでは見栄えがよくないという方には、門柱にビスなどをつけて、門扉が持ち上がらないようにするという方法もあります。これなら目立ちませんし、「外すために手間がかかるということが、門扉を守るために大切なこと」なのだそうです。
それにしても、家を守るための門扉ですが、門扉を守るのはたいへんな事です。
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