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「警察以外のだれにお願いできるんですか!」
何かにとりつかれたかのような勢いで、鋭い言葉が次々飛び出す。
千葉県で、マンションの押入れの中から、腐乱した女性の遺体が見つかりました。
一年半もの間、発見されなかったことに怒りをあらわにする、その女性のお兄さんが、2時間以上にわたって、お話ししてくださいました。
確かにお話を伺っていると、理解できる点、そして、問題提起しておくべき点があることに気づきます。
「なぜ警察は扉を開けてくれなかったのか?」
ここでは、この1点に絞ります。
警察はそのマンションの部屋の入り口までは、何度も足を運んでいました。ご家族は、部屋に入って室内を確認してもらうように繰り返しお願いしていましたが、中には入りませんでした。
もしかぎを開けて中に入っていれば、もっと早く遺体を発見できていたことになります。
中に入らなかった、入れなかった理由は、「事件性がない」でした。
こういうケースで中に入ってしまうと、「不法侵入」になってしまうそうです。
結果として、警察のとった行動には、取り立てて落ち度があったとはいえないわけです。
ただ、それではあまりにも納得がいきません。
その警察の行動ゆえに、遺体の発見が大いに遅れ、見るに絶えない姿になってしまったことが、「残念ながら仕方がなかった」で、すまされることなのか、ということです。
警察の(ルールに沿った)やり方、動きと、ご家族の思いの間には、あまりにも大きな隔たりがあったとしかいえません。
ご家族は、部屋の入り口・・・女性から数メートルのところまで来ていながら、扉一枚のために対面することができませんでした。そして、その扉を開けるには、警察にお願いするしかありませんでした。
そういった思いを伺うにつれ、こういう場面での警察の動き自体についても、もう一度考えてみる必要があるのかもしれません。
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