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4月4日 雪印食品最後の日、あの涙に思うこと

 
牛肉偽装事件を受けて、会社が解散してしまうことになった雪印食品。
その最後の日。
都内のある営業所で行われた終礼で、所長さんは、思わず言葉に詰まりました。

これまで20年にわたって勤務してきた所長さんは、出社する電車の中では、「いいたいことがたくさんある」とおっしゃっていましたが、終礼では言葉よりも先に涙があふれてきました。

涙ながらに語る所長さんの姿を見ていて、つくづく「会社ってなんだろう」と、考えさせられました。

今回お話をうかがった方々は、きっと事件そのものとは直接関係していないでしょう。
それでも、あの事件以来、「雪印食品」と書かれた車に乗っていたり、ロゴが入ったジャンパーを着ていると、後ろ指を指されるという日々が続いたそうです。
そんな中、発表された全員解雇。会社はなくなってしまうことになりました

「これまで会社でがんばってきたことは何だったのか」
そのことをはっきりと言葉にはしませんでしたが、そのやりきれなさは痛いほど伝わってきました。

逆のケースもあります。
会社の商品が大ヒットした。自分が会ったこともない社員の功績だった、または、自分の部署とはまったく接点がなかった、としても、社員全員に特別手当支給!なんてこともあります。

いいことも悪いことも、連帯責任なんですね。

ただ、雪印食品のみなさんは一様に、「会社からたくさんのことを学んだ」とおっしゃっていました。
怒りなどといった感情より、感謝の気持ちのほうが強いようでした。
残念さ、寂しさをこらえて、努めて明るく前向きにふるまうみなさんに、これからの新たなスタートを応援せずにはいられない気持ちになりました。 

   
 
    
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