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7月28日 第2話 君はサンボを知っているか!?
 
<スタッフA>
「明日、サンボのロケ、よろしく。19時社発」
<ひらいし>
「サンボ…。マンボ?ジャンボ?コロンボ?」
「明るいニュース」は、ジャンルを問わないので、何が来るかわからない。

スタッフのAさんがいうには、サンボは、旧ソ連の格闘技で、見た目は、レスリングと柔道に似ているらしい。

とにかく、そのサンボで、すごい女性がいるという。写真を見せてもらう。これが、美人なんです! 

サンボの世界大会(世界大会があるんです)で、2年連続して銀メダルを獲得している女子選手、藤井恵さん(26)。今回の取材では、実際に対戦するシーンも撮影するらしい。
「これは楽しい取材になりそう」な予感。

そして翌日。
ちょっとウキウキ気分で出発。ところが…。

新宿区大久保のスポーツ会館。地下にある道場は、学校の教室より少し狭いくらい。
筋肉質の男女(ほとんど男性)が、汗だくで、つかみ合い、絡み合い、練習に励む。
汗でマットがテカッている。窓は1つもなく、ムッとするような熱気、ものすごい迫力、そして、汗のにおいに、クラクラしそうになる。

銀メダリストの藤井さんは、ガタイのいい男子の選手と闘志むきだしの取っ組み合い。

予想以上に激しい…。
ウキウキ気分は吹っとぶ。
「どうやら場違いなところに来てしまってようだ…」

そして、いよいよ藤井さんとの対戦。

写真とは別人のように、目が鋭い! 
お互いの距離が縮まり、襟をつかんだその瞬間。体が宙に浮く!
投げるというより叩きつけるという感じ。それでも投げられるのは、以前に柔道で経験済み。すばやく受け身がとれた。


ところが、次の瞬間。「バキィ!」
足首が抜けるような感覚と音。かかとに激痛が走る。
サンボの真骨頂「関節技!!」
この痛さが、半端じゃない!
「恐るべし!藤井!」

そして、なんといっても、そのスピード。さすがは、世界銀メダリスト。
投げ技から関節技への連携には、1秒もあれば十分。
外見は、決して筋肉モリモリではないのに、腕や足をつかんで関節技に入るときには、ものすごい力を発揮する。

あがく間もなく、関節技にかかってしまう。次第に逃げ腰になる。
みじめで、泣きそうになってきた。
「これは、本格的に危ない!」
かくして今回身についたのは、すばやく降参すること。
けがをしなかったのは、さいわいである。


やはり、楽な取材は存在しないようだ。

そんな強くて、美しい藤井さんが、残念に思っていることがある。
友人に「サンボ」をやっているというと、踊りの「サンバ」と間違えられてしまうらしい。

この秋には、ウクライナで、世界選手権。
めざせ、金メダル!

 
明るいニュース紀行
  「世にも明るいニュース」(スーパーJチャンネル、月~金、17:35~)は、コーナーの時間が、3分という宿命もありまして、なかなか伝えきれないこともあります。そこで、この「明るいニュース紀行」では、こぼれ話、見聞録を掲載していこうと考えています。  
 
    
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