

2011年4月4日
かつて何度も津波に襲われた三陸海岸。防潮堤を高くするなど、世界でも類を見ない津波対策を行っていたが、今回、東北各地の町を襲った津波は、想定をはるかに上回り、岩手県では高さ約38mの津波が確認された。避難所の建物より高い津波が襲ったため、多くの犠牲者が出てしまった。
東北地方をのせた北米プレートと呼ばれる岩盤の下に太平洋プレートが潜り込み、その反発で起きたマグニチュード9.0の太平洋沖地震。一方、いつ起きてもおかしくないとされる東海地震は、フィリピン海プレートが沈み込む駿河湾周辺が想定震源域だ。マグニチュード8クラスの大地震が想定される。震源が近いため、津波の到達時刻は早く、避難が難しいとされる。
神奈川県鎌倉市。鎌倉大仏がいまの姿になったのは、1498年、明応の東海地震で発生した津波被害によるものだったとみられる。大仏の周りを囲むようにある大きな石は、巨大な柱の基礎の部分だった。かつては、石の上に柱が伸びた大仏殿が建っていたという。石畳の下を調査したところ、砂利などで円を描くように地盤を補強した跡が見つかった。地盤の間隔や石の数から推測すると、60本の柱が大仏殿を支えていたとみられる。大津波が建物を押し流したという。大仏の肩には、そのときについたとみられる凹みがある。津波被害は、歴史書にも記されていた。しかし、現在、鎌倉市が出している津波ハザードマップ(最大7mの津波を想定)では、鎌倉大仏は、浸水域に含まれていない。1923年に起きた関東大震災を元に作られているためだ。それ以前の津波被害は情報が少なく、想定浸水域には反映しづらいのだという。鎌倉大仏伝高徳院の佐藤孝雄住職は「津波でお堂が流されたと伝えられているこの寺は、現在では広域避難場所だ。早急に市全体として震災対策を見直す時期に来ている」と指摘する。
東海地震で大きな被害が出ると想定されている静岡県沼津市。津波の到達は、早い場所で5分〜10分後。しかし、市街地を除き防潮堤の建設は遅れたままだ。東海地震が起きた場合、約10mの津波が想定されている内浦地区。2200人が暮らす集落だが、海岸線の67%の場所で、防潮堤の整備が進んでいない。あっても高さ約1mほどのものしかない。海の近くには避難タワー、山側には、至るところに高台に通じる階段があるが、中には使われていない農道が避難路となっている場所もある。