身長
170cm
出身地
福岡県福岡市
出身校
日本女子大学附属高等学校→
日本女子大学
入社年月日
2001年4月1日
星座
蠍座

2014/9/30  「ユウコとシュウコ」

高校時代からの親友が結婚した。
身長も、髪型も、クラスも、部活も、苗字も同じ。
ユウコとシュウコ。名前まで似ていた。

むろん、違うところもあった。
シュウコは足が速く、同じ陸上部でも際立っていた。
選択していた種目は幅跳びで、野うさぎのように障害物を飛び越えていく。
長距離3000mを選択していた私は、後輩の数周遅れでトラックを走りながら、
たまに足がもつれて転ぶというありさまだった。


私だけ、膝に傷

「ゆうこさーん!」
よく通る声は、離れたところからでもすぐ分かる。
親元を離れて寮に入っていた私に、
「これ、父親からもらったやつだから気にしないで」
ポケット辞書かと思ったら、テレホンカードの束だった。
携帯電話が普及していなかった当時、駅前の公衆電話から実家に電話をかけていた。
残り度数を気にしつつ早口で喋る私の横で、
何本か電車を見送ってくれた数日後のことである。

シュウコのご実家にも、制服のまま何度かお邪魔したことがある。
同じ体型を良いことに、服やら鞄やら一式を借りて、神宮外苑の銀杏並木をデートした。
さすがに申し訳ない気持ちになったが、「なんか、双子みたいだねー!」
いつも、さり気なく気づいてくれたり、気づかないふりをしてくれたりする。
野うさぎとかめは、なぜか同じように歩みを進めた。


神宮外苑にて(1996.11.23)

結婚報告を受けたのは、夏の終わりだった。
「そもそも“適齢期”って言葉、どうなんだろうね?」
「入閣-にしても結婚-にしても、そんなスタンダードに縛られる必要あるかな?」
「もともと、結婚がゴールではないしね」
新婦と司会者による式の打合せを兼ねていたものの、いつものように話が脱線する。

結婚式の当日。
「ゆうこさーん!」
チャペルの扉の向こう、眩しい花嫁に話しかけられた。
いつものシュウコじゃない。
「今日は司会をしてくれて、本当にどうもありがとう」
いつものシュウコだ。
「もー、そんなこと、主役が言わないで…」
こちらが泣きそうになって、おめでとうと言い損ねてしまう。
飛び越えてきたものや、飛び越えられなかったことも、
ベールの中では全て光って見えた。



(9月20日配信)   

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