身長
170cm
出身地
福岡県福岡市
出身校
日本女子大学附属高等学校→
日本女子大学
入社年月日
2001年4月1日
星座
蠍座

8/8    「ザ・スクープ取材記―原発と原爆―」


原発と原爆。
それらは利用目的が異なることで、決定的に区別されている。
『ザ・スクープスペシャル』では、両者の密接な関係に迫る。

「核には絶対的な二面性がある。
原子力の平和利用と核兵器は、安全保障上、表裏一体だ」



元エネルギー省政策顧問にインタビュー

原子力をめぐる日米関係を検証するためにアメリカを訪れた際、
元エネルギー省上級政策顧問のロバート・アルバレス氏はこのように述べた。
平和利用と軍事利用が切り離される中、“表裏一体”という言葉が重く沈む。

核を巡るアメリカの存在。
1953年、アイゼンハワー大統領は国連演説で「原子力の平和利用」を訴えた。
その翌年、アメリカの原子力委員会は、広島への原発建設を提言している。
結果的に実現しなかったものの、1945年の太平洋戦争からわずか数年で、
原爆投下の地に原発を建てる目的は何だったのか。

「日本人の思いは、知っていますか」

アルバレス氏に問うと、「知っている」と頷いた。

「(被爆地への建設は)個人的には良いとは思わない。だが、両国には温度差がある。
当時のアメリカは、どんなことも出来る立場にいたことは事実だ」

1988年に日米原子力協定が改定されて以降、日本は使用済み核燃料を再処理し、
核兵器開発につながるプルトニウムを抽出することが認められている。
もっとも、日本は平和国家として非核三原則を掲げている。
核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず。
潜在的には「原爆」を作る技術を持ちながら、あくまでも再処理は「原発」のため―。
非核保有国としての理念である。

広島と長崎の原爆を経験した我々は、2011年に起きた福島第一原発事故で、
再び核の脅威を突き付けられた。
事故の翌年、当時の民主党・野田政権は「脱原発」への世論に後押しされる形で、
2030年代の原発稼働ゼロを目指す「革新的エネルギー・環境戦略」を発表する。
一方で、使用済み核燃料の再処理は維持推進した。
原発の継続が前提で“平和利用”されていたプルトニウムの使用目的は、
原発をなくした時点でその大義を失い、
核兵器のための“軍事利用”とみなされる危険性を孕む。
最終的に、原発ゼロ政策の閣議決定は見送られ、
同年末には民主党から自民党への政権交代が起きた。
現在の安倍政権は、原発ゼロ目標を白紙撤回した上で、
中長期のエネルギー政策については遅くとも10年以内に結論を出すとしている。


国民の暮らしと安全を最優先にした責任あるエネルギー政策を早期に構築し、
実行することを強く求めます。
(平成25年8月6日「平和宣言」)


広島に原爆が投下された8月6日には、毎年、市内で平和記念式典が営まれる。
今年は「平和宣言」の中に、エネルギー政策が盛り込まれた。
広島市長は、「絶対悪の核兵器と、人間のエネルギー造成の技術には区分けが必要」
と述べ、原爆と原発事故は別であると明言している。

「日本人の思いは、知っていますか」

原発と原爆。
原子力と核。
アメリカに問う前に、日本が問われている。





(8月5日配信)   

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