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9月11日 世界で活躍する日本人コーチ 中国とスペインが嵐を呼ぶ!



そして、スペインには藤木麻祐子コーチがいます。

宮嶋:「日本人コーチ藤木麻祐子さんが指導するスペインは一段とパワーアップしてきました。その裏には思いもかけないトレーニングがありました。」

冬のバルセロナ。
スペインチームの朝の練習をのぞいてみてびっくり。
なんと選手たちは服を着たまま水の中に飛び込んでいくのです。


 


服を着ることで水の抵抗が大きくなり、筋肉にかかる負担はより増していきます。
泳ぎながらの筋力トレーニングといったところでしょうか。
腿にかかる負担は相当なものです。

さらにそのあと、服を着たままテクニカルルーティーンの練習に入ります。
曲をかけて、水着の時と同じカウントで練習が続けられます。

この状態で泳ぎ続けること2時間。


 


スペインの選手たちが演技の後半になってもばてることなくパワフルに動け、去年のワールドカップ、テクニカルルーティーンで日本と同点を獲得した裏にはこのトレーニングがあったのです。

アンドレア:「最初はどうって言うことないけれど、後のほうになるともうふらふら。」

藤木:「もう3年ぐらいやっているんですけれど、もともとはスペインチームの水球チームがやっていたんですが、水球チームのコーチがこうやったらどうやって?アドバイスをくれたので。」

水の中でいかにパワーをつけるかは、水球選手にとってはお手のもの。
おもりを腰にまきつけさせたり、チューブをつけたり。
技術と同時にパワートレーニングが行われていきます。
こうして世界一パワフルなシンクロ選手が作られていくのです。



 


スペインチームの目指すところは、ずばり北京オリンピック。
アナ・タレスコーチに聞いていました。
アナ:「二つのオリンピックメダル。それはスペインシンクロにとってはじめてのオリンピックメダルになるはずです。」
宮嶋:「何色ですか?」
アナ:「銀色です・・・・・ごめんなさいね」

スペインは日本より上に行くことをしっかりと狙っているのです。


画家ダリをテーマに、3年間同じフリールーティーンを演じてきたスペインですが、
今シーズンは、北京をにらんで新しい作品を作ることになりました。

テーマはアフリカ
<T:AFRICA>

まだ、曲ができていないにもかかわらず、アフリカの太鼓のリズムを聴きながら、
選手一人一人が動きを自由に表現していくのです。

アンドレアの動きがなかなか面白いということになり、
みんなで同じ動きをやってみることになりました。

ビデオで撮影された映像を、チェックし、面白いか面白くないかを選手自身で判断していきます。


 


宮嶋:「日本的な感覚だと振り付けはコーチが作ると言う感じなんですが」

藤木:「私たちは造ってないって言うか、最終的にまとめる役で、一番最初のアイディアと言うか動きの感覚を出してくるのは選手ですね。」



アフリカをどうあらわすか、独創的な表現力が発揮されます。

パオラ:「スコルピオン(さそりよ)」

次から次に斬新なアイディアが飛び出してきます。



ジゼラ:「見ている人に楽しんでもらうために、いろいろなアイディアが浮かんでくるんですよ。」
宮嶋:「楽しいですか。」
ジゼラ:「もちろん」

食事のときでさえも、出てくる話題は新しいアイディアについてです。
作品を作り始めるこの時期が、一番楽しい時なのです。



王者ロシアの水中ビデオを見ながら、どうすればより高く飛べるかを話し合います。

「リフトの台の部分を水の上まで出したほうが、より高く飛べると思うわ。」
こう提案したのはアンドレア・フェンテス。
より高いジャンプを生み出すために、アンドレア自らジャンプ台となって水面から飛び出しました。


   


脚力自慢のアンドレア、
武道を習い、瞬発力に磨きをかけます。



 


選手たちのモチベーションを上げながら、それを上手にまとめて、細かな技術を教えていく藤木コーチ。一方、シンクロの基本テクニックをしっかり教えていく井村コーチ。
教え方は人それぞれですが、日本のコーチは今世界のシンクロを変えようとしているのです。

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【編集後記】
中国チームやスペインチームだけでなく、オリンピックの前年は各国が新しいものに挑戦して、思い切った作品作りに挑戦していました。アメリカチームはかつて日本のデュエットを指導したこともあるステファン・メルモン氏をコーチに起用し、奇抜な演技を見せ、会場を沸かせておりました。

今回の世界水泳が3月だったこともあり、北京五輪までは1年5ヶ月と十分すぎるほどの時間があります。この後、どのように成長していくのか目が離せません。
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