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Vol.27 (2008/01/22)  映画「母べえ」

皆様こんにちは^w^
テレ朝コンプリーツ「女子アナ☆試写室」に
掲載したコラムの転載ですが、
今回は、
1月26日(土)ロードショーとなる 
映画『母べえ』です。


「どんな映画なのかな。」                   
と少しでも気になっている方、                   
「知らないけどどうなのかな。」                
とちょっと興味をひかれた方、                     
こちらのコラムへお立ち寄りください^v^
それはそれは、とても心に残る映画の、おはなしです。

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『母べえ』 萩野志保子
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私の父が生まれたのが1940(昭和15)年。
母が生まれたのが1941(昭和16)年。
この映画は、まさに両親が生まれたころの東京の家庭を描いたものでした。

まもなく太平洋戦争が始まろうとする頃の日本。
自分の両親が産声をあげた頃の日本の生活。
だからでしょうか。
60余年前の激動の時代を映したこの作品に、私は特別な思いを抱きました。
「時代」と表現してしまうと、たちまち自分の「今」からは遠い、
まるで歴史の一ページのように離れた出来事に感じがちだけれど、
私にとっては、スクリーンに登場する何もかも、ひとつひとつが、
今の自分に繋がる、かけがえのない「昨日」のように感じられたのです。

そう。
この映画のとりわけ素敵なところは、「時代物」になっていないところ。
それは、その時代を細やかに描いていないということではありません。
むしろその逆です。
当時の情景、人々、生活が細やかに丁寧に描かれています。
それはもう、「巨大セットで40年代の街を再現しました。」などと喧伝するような次元を飛び越え、
むしろセットや作り物ということを忘れるほど、普通に、そこに息衝いているのです。

そこには「暮らし」が映し出されます。
だからこそ、大戦争に突入しようとしている不穏な時代、その頃の日本の様子が、年表の区切りのような「時代」としてではなく、今に繋がる「昨日」に感じられる。

60余年前のことですから、江戸時代や、ましてやもっともっと昔のことを描いたような「時代物」と比べることはナンセンスかもしれません。
でも、「昭和ブーム」とも言われる今です。
1960年代、30〜40年前の様子に多くの人が懐かしさを覚え、胸をつかまれる。
「今」の変化のスピードはとてつもなく速いから。
「あの頃」の情景、物。形あるものは壊され失われてしまうから。
だから、心象にしかない、あの頃の再現に心震わせられる。
そんな30〜40年前を懐かしく愛でる今にして、60年前といえば、
「わずか」と感じる人、「随分」と感じる人、世代によって様々なのではないでしょうか。

振り返り「郷愁」にむせぶ作品とは違う。
60年前を「今に繋がる昨日」に感じさせてくれる映画『母べえ』。

そこにある「今に繋がる昨日」は、今の私たちの暮らしとはまるで違っています。
戦争へと向かう日本の国家体制により、自由な思想や活動がゆるされない生活。
今に繋がる昨日の日本はこうした国だったんだということが、
細やかに描かれる「家庭」から、つぶさに伝わってくる。
吉永小百合さん演じる「母べえ」と、二人の娘とのやりとりは、それはもうリアリティに満ちていて、微笑ましく、ときにその絆に憧れさえ抱くほど、可愛らしく抱きしめたくなります。
家族同士が愛称で呼び合うことの素敵さも、とりわけ印象的だったところです。
でも、家族を取り巻く国の状況は、今とはまるで違う。

では、なぜ、違っているその頃を、
「今に繋がる昨日」と感じられるのか。

これが映画『母べえ』の真骨頂です。

祖父母が生き、両親がここに生まれ、こうした時代を生き抜き、今がある。
今の自分がいる。

そして「これから」。
今これからを生きていく私たち皆に。
映画『母べえ』が、貴重な問いを投げかけてくれています。


◇萩野アナの“近況”
突然ですが、有機シリアルに夢中です。
もともと穀類好きですが、ただいまもっぱら「麦」星人。
母が昔炊いてくれた「麦ご飯」を思い浮かべても、
「麦:白米」比率がおそらく間逆。“麦どれだけ!?”状態です。
麦味噌と豆乳を使ったうどんやお粥、
シリアル+ドライフルーツ+豆乳+ブラウンシュガー。
今の大好物でする。←「だから何だ。」
ご容赦くださいませり^w^


   
 
    
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