そして、喜界島のすぐ東に延びる琉球海溝から、室戸岬や御前崎までの南海トラフで、ほぼ同じ時期に超巨大地震が起き、それぞれの場所でほぼ同時に海岸線が隆起したのではないかと仮説を立てているのです。
古本教授が、この仮説を立てたきっかけは、2004年のスマトラ沖地震でした。
スマトラ沖地震では、震源はスマトラ島沖からインド洋のアンダマン諸島まで千数百キロに及ぶという巨大なものでした。
そして、この時の震源のプレート境界を、南北を逆転させて日本の地図に重ね合わせると、南海トラフ・琉球海溝のプレート境界に驚くほどピッタリと重なるのです。
スマトラ沖との地殻的な類似性からも、同じ規模の超巨大地震が南海トラフ・琉球海溝でも起きていた可能性は否定できないと、古本教授は考えているのです。
また、琉球海溝は、17世紀以前の地震や津波の記録が太平洋戦争などの影響で焼失し残されていないため、これまでは地震の空白域とも言われていました。
しかし、最新の研究で、琉球海溝でも一部で南海トラフと同じようにプレート間の歪みがたまっていることがわかってきたのです。
沖縄の宮古島では、約2200年から2300年前のもので、その後も数百年間隔で無数に打ち上げられている津波石といわれる巨大な岩が存在することも、東京大学などの調査で明らかになりました。
この琉球海溝から南海トラフまでが連動する可能性についても、もっと調査する必要があると専門家は指摘しているのです。
最悪を想定すると暗澹たる気持ちにもなってくるのですが、東日本大震災を経験した以上は、あらゆる事態を想定しておく必要があります。
津波対策で最も大切なのは言うまでもなく逃げることです。
しかし、周囲に全く高台がない平野が広がる場所も日本には多くあります。
また高齢者や足の不自由な方など、津波が来るまで5分から10分しか猶予がない場所では逃げられない方も現実にいます。
その最後の手段として、今、救命艇が注目を集めています。
|