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身長
175cm
出身地
東京都
出身校
法政第一高校→法政大学法学部
入社年月日
2010年4月1日
星座
牡牛座

2014/5/14 デビュー

GW某日。

CS放送の生中継で野球実況デビューしました。
舞台は学生野球の聖地、神宮球場。東京六大学野球です。

 

遡ること15年ほど前。

 

勉強が大キライで、いつも学校の宿題を後回しにしてしまう
不真面目な息子の将来を案じたのでしょう。

母は突然、
「大学の付属校に入学すれば、中学から大学まで10年間、
好きなだけ野球ができるよ!」と、馬にニンジン作戦を敢行。

野球少年に中学受験を勧めてきました。

「受験なんかしたくない!」
と幾度となく母に反抗したちひろ少年でしたが、
「高校で甲子園に出場し、東京六大学で神宮の舞台にあがる!!」
という漠然とした夢を持つことで、
なんとか人生で唯一の受験勉強を乗り越えました。

 

結果的に、
選手として甲子園でも神宮でもプレーすることはできませんでした。

しかし、社会人としてアナウンサーになり、
夢の一つが形を変えて叶うことになったのです。

 

実況当日。

赤茶色の土。
空よりも青いスタンド。
汗の臭いを思い出す陽射し。
メガホンが奏でる小刻みなリズム。

もう見慣れていたはずの神宮の光景がこの日ばかりは新鮮に映ります。

「ついに神宮デビューか。放送席に座ったら、うるっときちゃうかもなー」
なんて、正直、ちょっと感傷に浸りかけましたが…

 

とんでもなかった。汗

 

私の実況担当はこの日の第二試合。

それまでは第一試合の実況をしているアナウンサーのすぐ横で
スコアを書いたり、メモを渡したり、様々なお手伝いをします。
さらに試合終了直後にはグラウンドに降りて
勝利チームのヒーローインタビューを担当。

それらの役割を終えて放送席に戻ってくると、
第二試合の開始時刻まで10分位しかないのです!!
解説者の方と挨拶を交わしたら、もう、すぐに中継スタート。

 


ひょ、表情が硬い

 

いきなり大学名を間違えそうになるなど、
中継ならではの段取りの連続に頭が真っ白。
視野の広さはストローの穴くらい。
周囲の中継スタッフはハラハラしたことでしょう。(すみません)

 

それでも、舞台は大学野球の最高峰。

試合が始まると、野球好きにはたまらない手に汗握る展開に
緊張することさえ忘れ、熱戦に入り込んでしまいます。

解説者の方の丁寧なお話によるフォローもあり
自然と落ち着きを取り戻し、
無事にゲームセット。

 

その瞬間はまだ、
終わった!やりきった!という安堵感や達成感はありませんでした。

 

あの場面はこの言葉じゃなかった、
もっと声を張ればよかった、
そもそも鍛練が足りない…
浮かんでくるのは、限りなく反省反省反省反省。

 

三上アナに「最初で最後の実況お疲れさま!」と、
ねぎらいなのか揶揄なのかわからない言葉をかけてもらいましたが、
優しい先輩は実況する私の後ろ姿を写真に収めてくれていました。

写真を目にして、ようやく、夢に見ていた神宮の地で
自分が小さな一歩を踏み出したということを自覚。

 

「あの、あの神宮で喋ったんだ…」

 

胸に込み上げてくるものがありました。

 

やっぱり自分にとって野球はイマでも青春そのもの。
忘れられない27歳の初夏となりました。

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