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8月21日 G1CLIMAXで繋がる家族

G1CLIMAX2009が幕を閉じました。夏が、駆け足で過ぎ去ろうとしています。

この夏、プロレスで、忘れられない思い出を作った2人がいます。
誠に僭越ながら、私の両親が、その2人です。

私は岡山県出身です。両親は今ももちろん岡山で暮らしています。
遠く岡山から、G1CLIMAX最終日、
決勝戦を観戦しに、東京までやってきたのです。
「安い」という理由一つで、渋滞に耐え、車で16時間かけてやってきたとのこと…。
G1が、2人をそうさせました。

父は、小学生のころから、昭和のプロレス最盛期と共に成長してきたそうです。

「実況の物真似が流行り、コブラツイストが学校で蔓延した。
 それも全て、テレビあってのことだと思う。
 その実況をお前がしているのが信じ難いが、でも本当に、本当に嬉しい。
 これからも頑張れ。」

私の初実況が放送された時、父が送ってきたメールです。
私が、父からもらったメールの中で、唯一保存してあるメールです。

母は、3姉妹だったこともあり、ほとんどプロレスを知らずに成長してきたそうです。

ただ、私がプロレス中継を担当するようになってから、
毎週末深夜のワールドプロレスリングを録画し、
必ず「息子が喋っているかどうか」をチェックしているそうです…
(チェックの仕方の本質が誤っているような気もしますが…)。

時々プロレスの話をすると、
「棚橋は強くてかっこいいなぁ」などと、
新日本プロレスのエースレスラーの名を挙げて、
‘知ったかぶり’をしてみせます。

そんな両親がこの夏、父は平成になってからは初めて。
母は人生初のプロレス観戦にやってきました。

しかも真夏の祭典G1CLIMAX決勝戦がその舞台ですから、
どんなインパクトを残すのか、私も楽しみで仕方ありませんでした。

ワールドプロレスリング放送前ですので、
決勝トーナメントに誰が進んだのか、
そして決勝は?誰が優勝したのか?

これらの点については、お伝えすることを控えさせていただきますが、
両親共に、初めて見るレスラーの名前を具体的に挙げて
こと細かに感想を教えてくれました。

技の名前など全く知らない母が、
その技の動作を細かく描写し身振り手振りで、
どの技が格好良かったか、どの技が厳しそうだったかなど、
興奮気味に伝えてくれました。
感動して涙が出たという母はこう話しました。

「あれだけの血が流れとって、大丈夫なんじゃろうか?心配やわぁ。
 ○○選手は大丈夫だったん?」

恐らくこれが、初めて見る人の素直な感想なのだと思います。
私もそうでした。

そして父は、

「昔プロレスを見た気持ちが甦ってきた。
 今日見たプロレスは、わしらが見てた最盛期と言われた昭和のプロレスにも
 全くひけをとらないと思う。負けてないよ。感動した。」

と、まるで自分が一ファンの観点を凌駕しているかのごとく、
何故かとても誇らしげに語りました。
何よりも、会場の熱気に圧倒されたそうです。

男の戦いに酔いしれる空気。一体感。歓声と悲鳴。拍手とブーイング。
プロレスの会場には、人間の感情のほとんどが渦巻いているように思います。
泣いたり笑ったり、怒ったり悲しんだり、喜んだり…。
新日本プロレスのレスラーが織り成す命をかけた戦いは、須らく人を惹きつけます。魅了します。
初めて見た人にはなお、強いインパクトを残します。
かつて私がそうだったように。そして、私の両親がその証明であるように。

だからプロレスは、一度見るとやめられないんです。

ワールドプロレスリングでも、
G1CLIMAXの模様を今週末、さらには来週末も放送いたします。
(地域によっては遅れて放送される地域もあります。)

過ぎゆく夏の空気を感じながら、
テレビの前で「真夏」を体感してみてはいかがでしょうか…。


G1CLIMAX 8/13名古屋大会にて。メーテレアナウンサーと共に。
   
 
    
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